ヘロインを下半身の体内に入れて密輸したとして、麻薬取締法の疑いで女が逮捕・送検された。ヘロインの隠し場所がスーツケースやバッグではなく、下半身だったことにネットでは注目が集まっている。
どのように体内に薬物を入れ込むのか。また、違法薬物を体の中に入れることは、体に危険が及ぶ危険性はないのか。
増加傾向にある巧妙な手口
神戸税関の発表によると、兵庫県警と共同捜査を実施して2013年11月8日、ベトナム国籍の無職の女、フイン・ティ・バック容疑者(42)を神戸地検察庁に告発した。女はヘロイン8.85グラムを体内に隠し、10月22日にベトナムからの便で関西国際空港に到着、税関を通過しようとしたところで、兵庫県警にヘロインを発見・押収された。
神戸新聞の報道では、フイン容疑者は自分で使用すると主張して、営利目的を否認しているようだ。隠匿の手段も書かれていて、固形ヘロインをアルミ箔で包みポリ袋に入れて下半身の体内に隠していたという。
体内に入れて薬物を持ち運ぶという、独特の手段にネットでも注目が集まっている。財務省関税局・調査課の資料によると、不正薬物を体内に隠匿する巧妙な手口はここ数年で増加傾向にある。多くのケースは薬物をコンドームなどの袋に詰め、飲み込んで体内に隠すというやり口だ。
8月にあったヘロインの密輸事件では、南アフリカ共和国国籍の無職の男が、小分けにしたヘロインをビニールに包んで飲み込み、成田空港から密輸入しようとした。任意でエックス線検査を行ったところ、体内から大量のヘロインが見つかった。
秋田大学の中永士師明氏の報告「ヘロインbody packerに対して消化管造影CT検査が有用であった1例」によると、
「少しでも多く運ぼうとして相当数を体内に隠すことも多く,コンドームが破れて体内に吸収された時には致死的になることも」あり、「コンドームはいつ破れるかはわからず,まさに中毒における時限爆弾と言えよう」
とその危険性が述べられている。
腸内に薬物が漏れて死亡したケースも
過去の類似したケースを調べると、覚せい剤を体内に入れたのが原因で、死亡した人もいた。読売新聞の記事(2009年3月4日)によると、当時36歳の男が香港国際空港から成田空港に到着した際、大声で騒ぐなどして苦しんでいた。空港内の診療所に運び、X線検査をすると腸から、ゴム製の袋に入った覚せい剤が見つかった。その後、薬物による急性中毒による意識不明の状態が続いて死亡した。
表だって報道されないが、下半身に薬物を入れるケースは過去にも複数あるようだ。ZAKZAKが報じた2007年10月1日の記事に、成田空港の税関関係者の証言として、「えげつない話なのであまり報道されないが、膣に入れるケースは年に数件はある」と書かれている。
「麻薬探知犬は衣服や手についたにおいで判断するので、体内にあると探知できない場合もある」そうだ。