落合、清原しのぐ活躍
巨人はこれまで、戦力補強のため外様の大物選手を獲得しては、使えなくなると切ってきた歴史を持つ。
小笠原の前はラミレスがいた。ヤクルトから取り、DeNAに移ったからまだ覚えているファンも多いだろう。西武から移籍してきた清原もそうだったし、その前の落合は中日から来て日本ハムに行った。
だからこのようなケースは、巨人にとっては特別なことではない。数年に一度行われる出来事なのだ。巨人は大金を支払う、選手は大金を得る。そういう関係である。つまり、小笠原は外国人選手扱いと同じで、指導者として残ることはまずない。
FAでチームが変わるというのは、一般社会でいえばヘッドハンティング。役目が終わればグッドバイとなる。そこにファンの思いが介入する余地がない。
小笠原は07年にFAで日本ハムから巨人に移ってきた。その年、MVPに選ばれる活躍をしている。前年にもMVPを獲得していたから、2年連続両リーグでMVPという史上初の快挙だった。巨人の3年連続優勝に貢献するなど、かつての落合、清原をしのぐ働きを見せた。それでも力の衰えは、金の切れ目、縁の切れ目なのであう。
新天地が見つかり、試合に常時出場すれば、小笠原はまだ打てるだろう。あの「フルスイング」は、まだまだ投手にとっては脅威である。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)