「カツラは経費で落ちるが、植毛は経費で落ちなかった」。個人事務所の申告漏れを指摘されてからタレントを休業している板東英二さん(73)が復帰会見でこう釈明したことが、ネットで論議になっている。
涙を拭う様子で語った会見で出てきたのは、唐突な告白だった。
カツラと植毛で違いがある可能性
「20年近く、ずっと植毛をやってまいりました」。板東英二さんは、突然こう切り出すと、国税局と「見解の相違」があったケースについて説明を始めた。
「カツラが経費として落ちると聞いておりましたので、植毛も落ちると思っておりました。植毛は美容整形と同じだと言われまして、初めて分かりました」
この発言が出ると、会見場からは驚きの声が上がった。
板東さんは、2012年12月に名古屋国税局から7年間で7500万円の申告漏れを指摘されている。当初は、うち5000万円が取引先への架空外注費などに使われ、所得隠しと認定されたと報じられたが、会見では、脱税の意図について否定した。すると、植毛を経費に上げてしまったことが主な見解の相違だと言いたかったのか。
この点について質問が出ると、板東さんは、植毛の経費計上を「かなりの金額」と明かしたものの、肝心の金額については明かさなかった。結局、申告漏れの全容は分からず、ネット上では、これでは説明が不十分だとの声も漏れている。
そもそも、カツラは経費に認められ、植毛は認められないというのは本当なのか。
ネット上では、税の専門家からも発言が相次いでおり、それによると、カツラと植毛で違いがある可能性は確かにあるというのだ。
税理士の岩松正記さんは自らのブログで、カツラについて、仕事だけに使い、プライベートな時間は外せるため、国税から仕事に必要と認定されれば経費になると説明した。
「植毛は、衣装のようなカツラと違う」
これに対し、植毛については、「美容整形と同じだから経費ではない」というのが通説だと、岩松正記さんは言う。つまり、植毛は、プライベートな時間は外せる衣装のようなものではないため、よほどの理由がないと経費と認められないというわけだ。
公認会計士の高橋善也さんもブログで、カツラと植毛は、一般的には似た者同士と思われているものの、税務上は、同様な違いがあると指摘した。カツラは衣装とみられても、植毛は衣装とみられないということだ。ただ、実務に通じていないと、税理士でさえも即答は難しいとしている。
芸能人の場合は、プライベートまでマスコミに報じられており、植毛なども仕事に必要と主張することはあるかもしれない。
もし経費だと主張するとしても、植毛に7年間で7000万円以上も費やすことは芸能界ではありうることなのか。
スポーツ報知の記事によると、ある著名な美容整形外科に聞いたところ、毛を1000本植えると、高額な治療では100万円余もする。ネット上で調べても、その前後はする場合もあるようで、日本人の平均ともされる約10万本の頭髪をすべて植毛したとすると、1億円ほどかかる計算になる。とはいえ、どこまでお金をかける芸能人がいるのか、実態は不明だ。