リハビリで寝たきりを治す 田島文博医師が実践報告

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   「日本のリハビリは患者不在。患者さんを治そうという志がありません」。2013年11月2日、東京の日本医科大学で開かれた癒しの環境研究会で、和歌山県立医科大学リハビリテーション医学講座教授の田島文博さんが発表し、驚かせた。

   「退院後のプロセスケア」の一つとして「闘病記文庫」「外見のケア支援」などとともに「退院後のリハビリ」が重要な課題として選ばれた。

寝たきり3年でも歩けるようになる

   田島さんは同大学病院着任10年目。さらにその後に大学が再建に協力することになった那智勝浦町立温泉病院で徹底的なリハビリの実践を行っている。「患者さん第一主義」の信念からだ。

   田島さんは「安静は麻薬、運動は万能薬」と、くり返し強調する。元通りになるためのリハビリはできるだけ早期に、しかも集中的に、過酷なほどに実施する。「1日3時間以上しないと効果が出ないのに、日本の病院は20分、1時間。しかも、長時間リハビリは診療報酬が打ち切られる」。こうした状況では地域連携パスも逆効果になっている。田島さんたちが急性期病院で装具療法も駆使し、高負荷リハビリをして動ける状態にして転院した患者さんが、起こさないリハビリで元に戻ってしまう。そうした患者さんを再び受け入れて治している。

   開始も遅い。座れるようになってから立位・歩行訓練ではだめで、田島さんたちは手術などが終わった直後から始めることも多い。また、手術での体力低下を防ぐため、消化器手術の前から、 1日1時間から6時間の訓練をする。食道がん手術後も翌日から歩行訓練をする。

   「リハビリのすごい力に驚きます」と、田島さん。脳卒中などで倒れて何年間も寝たきりという人も、毎日の厳しい訓練で奇跡的に回復する。田島さんのチームは、最長3年間寝たきりの人を在宅リハビリで歩けるようにするのに成功したという。運動量の多い分、心臓などのチェックも重要で、リハビリ開始前にきちんとした診察が欠かせない。田島さんはこの10年間に約35000人のリハビリを引き受けたが、リハビリ中の再発はなく、死亡は1人だった。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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