業績回復も「賃金」よりも「配当」先行? 「人件費はコスト」

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「賃金は未だ増加トレンドに入っていない」

   一方、業績回復に伴い、賃金アップへの期待も膨らんでいる。これまで企業は不採算事業からの撤退などの経営合理化と、人員整理や賃金引き下げなどのリストラ策で利益を確保してきたのだから、従業員にしてみれば、「この機を逃したらいつやるのか」と言いたいだろう。

   政府の「後押し」もあり、日本電産の永守重信社長が2013年10月22日の決算会見で、「復興特別法人税を前倒し廃止するなら、従業員に還元しないと」と話したり、前出の京セラの山口悟郎社長もベースアップや一時金の増額について、「前向きに検討したい」と述べたりするなど、ムードは悪くないように思える。

   第一生命経済研究所・エコノミストの大塚崇広氏は、「配当だけが上がるということはないと考えています」と話している。

   とはいえ、第一生命経済研究所は「賃金は未だ増加トレンドに入っていない」とも指摘。冬のボーナスは伸び率が高まるなど改善が明らかだが、全体としては所定内給与の弱さ(9月、前年比0.3%減)を主因に低迷の域を脱していないといった印象という。

   内閣府によると、企業内の余剰人員は465万人(2011年9月時点、推計)にのぼるとされ、なお「リストラ途上」の状況が続いているといえなくもない。

   野村証券の西山賢吾シニアストラテジストは、日経ビジネス2013年11月4日号で「人件費はコスト。経営者の心理としては抑えたい」とコメント。前出の大塚氏も、「これまでのような、コストカットで収益が改善した企業はたしかに残っていますし、正社員を減らしてパートに置き換えることもないわけではありません。来春には消費増税などもありますから、明るいとは言いきれません」と話す。

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