日本がらみの「人権」「差別」問題には飛びぬけて敏感な韓国で、とんでもない「人種差別広告」がまかりとおっていたことがわかり、海外から失笑を買っている。
問題となっているのは、韓国唯一のたばこメーカー・KT&Gが2013年9月に発売した製品「THIS AFRICA」だ。「アフリカの伝統的な技法」でロースト、乾燥させた葉たばこを使ったという、同社自慢の新製品だったのだが……。
英BBCなど主要メディアにも
問題となったのはそのパッケージと、広告イラストだ。まずパッケージのほうは、モノクロで、たばこの葉を「アフリカの伝統的な技法」でローストするチンパンジーの姿が描かれている。そして広告のほうは、テレビリポーターの格好をしたチンパンジーが、やはりたばこの葉をあぶるチンパンジーたちを紹介する姿が、こちらはリアルなタッチで描かれている。
これが、アフリカの人々を「チンパンジー」扱いにしたものだとやり玉に挙がった。韓国メディアでも指摘されているが、他の国の人間を「サル」になぞらえることは、典型的な侮蔑行為だ。ましてや、とかく「未開」という差別的なまなざしを向けられがちなアフリカの人々にとっては、この広告は見過ごせるわけがない。
トーゴに拠点を置く国際団体「アフリカ・たばこ規制同盟(African Tobacco Control Alliance)」は、「破廉恥で侮辱的」「極度の文化的無理解」と強く反発する声明を発表した。海外メディアは相次いでこの問題を報道、英BBCや仏AFP通信など、欧米の一流メディアも「レイシスト」という見出しを掲げ批判した。
KT&Gは10月23日、あわてて問題の広告を中止すると発表した。ただしやはりチンパンジーが描かれたパッケージについては「不快感を与えるものではない」と抗弁していったんは変更を拒絶、その上、海外紙の取材に対し、
「サルは人々にアフリカを思い出させる、愉快な動物として選んだだけ」
などと回答し、さらなる憤激を買った。結局11月4日には、パッケージの差し替えも発表せざるを得なくなっている。