プロ野球・楽天ゴールデンイーグルスの日本一を記念したインターネット仮想商店街「楽天市場」の優勝セールで価格の不当表示の疑いが浮上したことについて、楽天は2013年11月7日、問題視される商品が約20店舗・1000点にのぼることを明らかにした。
楽天は、その20店舗を閉鎖。全店(約4万2000店舗)を対象に調査を開始し、半月後をめどに報告をまとめるというが、そもそも「77%OFF」という大幅な割引に無理があったのではないか――。そんな声も聞こえてきた。
8000店舗・506万点の商品は事前に確認していた
楽天の優勝セールの「目玉」は、星野仙一監督の背番号77にちなんだ「77%OFF」の商品で、その大幅な割引から注目を集めていた。
ところがセール開始後しばらくすると、一部店舗の「通常価格がおかしい」と、利用者らがツイッターなどでつぶやいた。
たとえば、ふだん2625円で販売されている「抹茶しゅーくりーむ10個入り」が「通常価格1万2000円の77%OFFで2600円」として販売されていたり、他の通販サイトで6万円台で売られている米アップルの「iPhone4S」が「通常価格43万3915円のところ、セールで9万9800円」と表示され、あたかも割引販売であるかのように装っていた。
消費者庁の景品表示法のガイドラインによると、セールなどで値引き率を掲げる場合、元の値段となる「通常価格」はセール直前の2か月間のうち半分以上の期間で販売したという実績が必要としている。
優勝セールにあたり楽天は、対象商品を出店業者(店舗)が事前に申請する仕組みにしており、セールに参加した8000店舗・506万点の商品については「元値の不当引き上げがないこと確認していた」(高橋理人常務執行役員)と説明している。
それにもかかわらず、不当表示が起こったのは一部の店舗が審査を受けず、独自の判断でセールを実施し、大幅な値引きをしているように見せかけて販売していたため、という。
2013年11月7日、1~9月期連結決算を発表した楽天の三木谷浩史会長兼社長は「正式な日本一セールは厳正な審査を経て実施していた。勝手に便乗したセールがあったようなので調査しているところで、結果が出たら正式にコメントしたい」と話した。
今後、再発防止策を考えるとともに、価格表示の不正が確認された場合には、店舗との契約を打ち切るなど厳しく対処するとしている。
「割引セールはマーケティングコスト」
こうした楽天の説明に、インターネットでは不正表示をした業者の「名前をさらしたほうがいい」「やっぱり、おいしい話はない」といった、怒りと落胆がまじった声が寄せられている。
半面、そもそも「77%OFF」という大幅な割引に無理があったのではないか、との声もある。ネット販売でなくても、セール商品は店の利益を還元したもの。しかも70%OFF、80%OFFともなれば、型落ちだったり、在庫処分だったり、となにかしらの曰くつきの商品でもおかしくないくらいの負担になる。
楽天市場の出店業者が、「ただ利益を減らすだけの安売りセールには応じたくない」と考えても不思議はないし、儲けが少ないなかでなんとか利益を出そうとしたのではないか、店舗に過剰な負担がかかったのではないのか――という想像もできる。
楽天は、「セールへの参加や出品する商品については事前に、わたしどものECコンサルタントと相談しながら、各店舗が戦略をもって臨んでもらっています。店舗にとって『77%OFF』はかなりの負担になりますが、わたしどもが費用を負担することはありません。(日本一の)お祝いの意味合いもありますが、ふだんからセールの割引分は新規顧客などのマーケティングコストとして考えていただいています」と説明している。