天安門に車両が突っ込んで40人以上が死傷した事件で、現地で欧米メディアに対する批判が高まっている。中国政府がウイグル人による組織的なテロだと断定したが、CNNなどはこの説を疑問視している上、事件にはウイグル族が弾圧されているという背景があるとみているからだ。
この報道には官民問わず反発が広がっており、「CNN出て行け」と主張する署名活動まで始まった。すでに14万人以上の支持を集めている。
記者がCNNを引き合いに質問する
2013年11月4日の中国外務省の定例会見では、こんなやり取りもあった。記者が、
「CNNなどの一部特定メディアが、中国側が説明する事件の特徴に疑問符を投げかけ、中国の民族、宗教に関する政策を批判している。この事件のテロリストに対して同情すら示している」
とCNNを名指しした上で見解を求めると、洪磊(ホン・レイ)報道官は、
「一部の人や勢力は、無実の市民や旅行者に対する一握りの過激派によるテロ活動と、民族・宗教の問題を結び付け、中国の民族・宗教に関する政策を攻撃する口実に利用すらしている。この様なテロリストを黙認していることに、強い不満を表明する」
と、ウイグル族寄りの報道を批判。
「この問題に関係するメディアは立場をはっきりさせ、客観的で公正な報道を行うべきだ」
とクギを刺した。
北京からの賛同者が一番多い
この日には、「ウイグルのテロリストを支持するCNNはを中国から出て行け」と題した署名も掲示板サイトで始まった。呼びかけの内容は、
「1人の、普通の中国人では、大きなムーブメントを作り出すことはできない。皆さん、ここで署名してください。13億の中国人が一緒になって世界に心の声を届けよう」
といったもの。賛同者は急激に増えており、11月7日の18時時点で14万5000人近くが署名している。どの地域から投票されたかも分かるようになっており、一番多いのが北京で10.68%、山東省(8.28%)、江蘇省(7.18%)、広東省(7.17%)と続いている。
中国国際放送のウェブサイトは署名活動について報じる記事の中で、CNNが事件について「絶望の叫び」といったウイグル族に同情的な見出しで報じたことを指摘する一方、11月1日にロサンゼルス国際空港で起きた銃乱射では全く容疑者に同情しなかったと論じた。この「ダブルスタンダード」が中国人の怒りを買ったとみているようだ。
例えば記事では、ネット上のこんな声を紹介している。
「もし自動車が世界貿易センターに突っ込んで爆発したら、(米国人は)『テロは民主主義や自由に対して打撃を与えるのが目的だ』と言うだろう。似たようなことが中国で起きたら、君たちは『当然の結果だ』とでも言うのか」