側溝の清掃はしない 地域の美化活動に制限【福島・いわき発】

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   日曜日早朝6時半、各家から人が出て清掃が始まる(=写真)。主に道路沿いのごみを拾い、車道と歩道を分ける縁石の草を取り、いわき市から支給・配布された専用のごみ袋に詰める。小一時間もすれば、あらかた家の周りはきれいになる。あとは指定の場所にごみ袋を出しておけばいい。やがて収集車が来てごみ袋を回収していく。


   事前に団体(行政区)としての清掃実施計画書をいわき市役所に提出し、回覧で住民に実施日時と内容を知らせ、ごみ袋を配布しているからこそできる役割分担(協働作業)だ。


   いわき市は昭和57(1982)年度から年2回、「いわきのまちをきれいにする市民総ぐるみ運動」を実施している。6月と10月のある週、金・土・日の3日間、テーマを決めて環境美化活動が展開される。


   金曜日は「清潔な環境づくりをする日」(学校や事業所周辺の清掃)、土曜日は「自然を美しくする日」(海岸や河川の清掃)「みんなの利用する施設をきれいにする日」(公園や道路の清掃)、日曜日は「清掃デー」(市内の全家庭周辺の清掃)と分けられているが、もちろん前倒しも、まとめての実施もOKだ。


   今年の秋の総ぐるみ運動は25、26、27日に実施された。最終日「清掃デー」の様子を、冒頭に記した。


   今年で31年目の、いわき独自の総ぐるみ運動だが、原発震災の発生で中身が変わった。側溝清掃は原則実施しないように、という。なぜか。土砂の受け入れ先が確保できないからだ。


   ごみ拾いのほかは草取り程度の軽作業のために、作業時間が30分程度に縮まった。しかし、側溝の泥上げをしないことで大雨時に歩道が冠水しやすくなるのではないか、という心配も年々ふくらむ。


   放射能はいったん環境にばらまかれると、煮ても焼いても消えない。埋めても沈めても残っている。ここから去ってもそちらに現れる。そのうえ、地域の美化活動でさえも制限が生じ、二次的に水害の懸念をもたらす。ほんとうに始末が悪い。

(タカじい)



タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
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