韓国の朴槿恵大統領が、またも海外で日本「攻撃」を繰り返し波紋を広げている。日韓首脳会談について、「慰安婦問題などが解決しない状態では、しないほうがマシ」などと発言したのだ。
異例の緊張状態が続く中で、韓国メディアなどからも日本との対話を促す声が少なくない。それでも朴大統領がかたくなな姿勢を取り続けるのには、その半生から来る「特異な性格」も少なからず関わっているらしい。
BBCに「日韓会談、しないほうがマシ」
「韓国の朴大統領、日本との対話は『無駄』」
英BBCは2013年11月4日、朴大統領とのインタビューをこんな見出しで報じた。この中で朴大統領は、日韓関係を困難にしている課題の1つとして「慰安婦問題」を挙げ、
「これらの問題が解決されず、日本が自らの考えを改めない状況で、なおも日本側がこれまでのような発言を続けるならば、首脳会談をして何の意味があるだろうか。あるいは、会談などしないほうがマシだろう」
と言い切る。
朴大統領は2日から8日までの日程で、ヨーロッパ各国を訪問中だ。この間、3日には仏紙フィガロとのインタビューで日本の一部政治家の発言を批判しつつ、日本にドイツの歴史問題への対応を「見習う」ように求めたほか、4日にはフランスのオランド大統領との会談でも慰安婦問題をアピールするなど、「日本批判」キャンペーンを繰り広げている。
安倍政権は緊張関係の打開を目指し首脳会談に意欲的だが、一連の発言でその実現はさらに遠くなった感がある。岸田文雄外相も5日の会見で、引き続き日本側の立場を伝えるべく努力するとしつつも、朴大統領の発言には「大変残念だ」と失望を隠さない。
韓国メディアは「そろそろ…」と対話を促すが
「今の韓国が当時(文禄・慶長の役直後)よりもかたくなにならざるを得ない理由は何だろうか。歴史は歴史、外交は外交ではないか」(朝鮮日報)
「日本との首脳会談に、これ以上そっぽを向く理由はない。日本国民の嫌韓感情をいたずらに刺激する行動は慎むべきだ」(韓国日報)
韓国メディアでも、こうした朴大統領のかたくなさに危惧の声が出ている。韓国の3大紙、朝鮮日報、中央日報、東亜日報などもそろって、日本との対話を呼びかける記事を掲載する。「日本寄り」の態度を示す米国の冷淡さなども韓国側の焦りを深め、「もうボールは韓国側に渡されている」(パク・ジン韓国外国語大学客員教授)といった声も出ている。
ブレーンが指摘する朴大統領の「性格」
朴大統領は日本との対話に舵を切れないのだろうか。BSフジの番組に4日出演した朴大統領のブレーンの1人、世宗研究所日本研究センター長・陳昌洙氏は番組の中で、朴大統領も国内の「反日」世論に行動を縛られている部分はあるとしつつ、「朴大統領は世論が変わっているところに乗って、自分の政策を変える方ではないと思う」と言う。
陳氏によれば、朴大統領は「約束」「信頼」という部分を極めて重んじる性格だといい、日本に対しても歴史認識を「一致」とはいかないまでも、「村山談話」などを始めとする過去の政権による「約束」は守ってほしい、という心情が強いのだという。しかし安倍政権側の言動はそうした「信頼」を裏切るものであり、朴大統領には不信感が植え付けられてしまった――というのが陳氏の見立てだ。
韓国紙・京郷新聞でも、朴大統領の人柄を「約束と信頼を重んじ、『裏切り』を強く憎む。信頼を失った人間にはとことん冷たい」と紹介、そうした性格は故・朴正煕大統領の娘、という特殊な生い立ちによるものだと分析している。
陳氏は首脳会談の実現には、日本側の「村山談話を順守する」というメッセージが必要だとしている。しかしそれ以前に、韓国側からすれば、まず安倍首相が朴大統領の「ハート」を溶かすことが不可欠ということのようだ。