海外の日本食レストランが急増している
外務省と農水省によると、海外の日本食レストランは2013年3月時点で約5万5000店。2006年の約2万4000店から倍増した。地域別に最も多いのは、アジアの約2万7000店で、北米の約1万7000店、欧州の約5500店、中南米の約2900店と続く。日本貿易振興機構(JETRO)などの調査では、外国人が最も好きな外国料理は日本料理で、外国人観光客が来日前に最も期待するのは日本食だという。
世界の食の市場規模(外食と加工食の合計)は現在340兆円とされる。農水省は、これが2020年には680兆円に倍増すると予想する。とりわけ中国、インドを含むアジアは現在の82兆円が229兆円と、約3倍に拡大すると見込んでいる。
このため、食品メーカーや外食関連産業などで組織する「日本食レストラン海外普及推進機構」は、「食材の大口ユーザーでもある海外の日本食レストランの発展とともに、日本産食材の利用拡大を図ることは輸出促進にとっても重要だ」と指摘する。
同推進機構の茂木友三郎理事長(キッコーマン取締役名誉会長)は「日本の食文化は食材、調理法にとどまらず、器や調度、建築、華道や茶道に代表される精神性、美意識など日本の文化そのものを反映している。日本の食文化は我が国の優れた知的財産であり、世界に発信することで、その文化的・経済的価値を高めていくことが重要だ」と話している。
農水省など政府もTPPをにらみ、和食の海外展開で国内農水産物の輸出を増やすため、ユネスコの無形文化遺産登録をフル活用する方針だ。果たして狙い通りの成果を収めることができるのだろうか。