2012年12月の衆院選で惨敗し野党に転落した民主党が、次期衆院選に向けた人選を進めている。だが、ふたを開けてみると、事前に明らかにされていた年齢制限や惜敗率などの公認基準が事実上反故にされていることが明らかになった。
衆院選に続いて13年7月の参院選でも、公認作業の不手際が大敗の一因になった。早くも党再生に向けた取り組みが形骸化しつつある。
「特段の事情がある場合は考慮する」という例外条項もあった
執行部が13年8月に示した選考基準では「2016年1月現在で満70歳以下」という年齢制限を盛り込んだほか、参院選支援の活動実績、衆院選での惜敗率も考慮するとした。都道府県連が党本部の支部長候補者を上申し、党本部が選考を進めるという段取りだ。ただし、「特段の事情がある場合は考慮する」という例外条項もあり、基準が形骸化する可能性も指摘されていた。
民主党は13年12月までに第1次公認内定者を決めることにしており、その中でも「第1回集約」と「第2回集約」の2段階に分けて決める。13年10月30日には「第1回集約」34人が発表された。このメンバーを見ると、この「形骸化」の危惧が現実化したようだ。12年12月の衆院総選挙で落選した田中真紀子氏(69、新潟5区)が含まれていたからだ。
真紀子氏は16年1月時点で72歳。明らかに基準に抵触する。さらに、新潟県連は真紀子氏を支部長候補として上申しておらず、党本部が県連の「頭越し」に公認を決めている。これだけでも党内の地方組織の選挙に向けた戦意をそぎそうだ。
さらに、真紀子氏は落選後の去就を今でも明言していない。夫の直紀氏は8月、報道陣に対して「本人に確認していない」と断った上で、「民主党にこだわるようなことはないだろう」と民主党以外から出馬する可能性すら示唆しており、「小沢一郎氏の『生活の党』から出馬するのでは」との噂が絶えなかった。このような状態での公認には「民主党支持者への裏切り」との声も出そうだが、執行部は原理原則を曲げてでも真紀子氏の圧倒的な知名度に頼りたかったようだ。
真紀子氏以外には、厚生労働相を務めた三井辨雄氏(70、北海道2区)が年齢制限に抵触している。