支給対象を大規模農家に絞るなどの方向で検討
そもそも日本がTPP交渉に参加しなくても、日本の農業が重大な危機に直面しているのは明らかだ。農家の平均年齢は今や66歳と高齢化が深刻化している。また、食生活の変化が進み、1人当たりのコメの消費量は過去40年で半減。農業政策を転換しなければ、日本では農業という産業自体が成り立たなくなる瀬戸際に追い込まれているのが実態だ。
減反の見直しに対し、農業団体は当然、反発を強めている。これまで政府の保護策で何とか生きてきた零細農家が成り立たなくなる恐れがあるためだ。ただ、JAグループが経団連に対し、農業の競争力強化で連携することを呼び掛けるなど、農業再生に向けた農業団体自身の新たな動きも生じてきている。
政府の減反見直しは、減反の一律補助金を段階的に削減したり、補助金の支給対象を大規模農家に絞るなどの方向で検討中だ。米価急落時には一定の収入を補償する収入保険制度の導入なども併せて検討し、11月中にも改革案がまとまる見通しで、農業再生への大転換につながるか、注目される。