茂木健一郎も好評価 美大教授も「70年代からの常識」
報道について日展の事務局は「現在、事実関係を調査中です」と答えるのみだが、この種の話は美術関係者の間ではしばしば噂されていたものの、これまで大手メディアが大々的に取り上げたことはなかったため、インターネット上でも注目を集めた。脳科学者の茂木健一郎さんは「現状の課題をほぼ過不足なくまとめていて、良い仕事だと思います」と評価した。茂木さんは門外漢であるものの、2週間前に「公募展に現代のアートにつながる文脈や批評性はない。あるのは年功序列と新陳代謝のない停滞」などとツイートし、公募展に疑問を呈したばかりだ。今回の報道を受け、「審査者が誰なのか、応募者が誰なのか、お互いにわからないダブルブラインド審査」ができるよう改革すべきとも話した。
現代美術家の中山ダイスケさんは「あ~あ~、美術界ではそこは秘密ってコトになってるのに、、、」とコメント。金沢美術工芸大学教授の小松崎拓男氏は「こんなことは私が高校生だった頃(70年代)からの常識だった」とした上で、「文化功労者の顕彰には美術団体の地方の有力者と思われる人物の名前が並ぶ。今の空気を呼吸していない文化庁を中心とした国策の文化制度はとうの昔に破綻している」と指摘した。
今年の日展には1万3919点の応募があり、2358点が入選した。11月1日から12月8日にかけ東京で開催後、全国を巡回する。東京会場は、六本木の国立新美術館だ。99年間にわたり会場となっていた東京・上野の東京都美術館から07年に引っ越した。「ハコ」は変わったものの、今回の報道により、変わらない「体質」に厳しい目が向けられることになりそうだ。