ロシア、ビザなし交流参加拒否ちらつかせる
北方領土問題では、ロシア側の強硬姿勢が目立つ。そのひとつが、ビザなし訪問をめぐるやり取りだ。山本氏はビザなし交流の一環として北方領土を訪問した直後の9月23日に
「領土返還を実現させていかなければいけないという決意を新たにした」
と述べた。これに対して、ロシア外務省は9月26日に異例の声明を発表。声明では、ビザなし交流は旧島民の祖先の墓参を目的とした「人道的措置」だと説明し、山本氏の発言については、
「こうした訪問で平和条約締結のような敏感な問題で政治的発言をするのは不適切」
と批判。脅しのような文言まで突きつけた。
「もし何らかの理由で日本の政治家がロシア領訪問後に『島の問題』について公的発言を控えることができないのならば、我々は、政治家のこのような旅への参加を制限する権利を留保する」
この声明に対して、山本氏は10月1日の会見で、
「これまでの日本政府の立場を改めて申し上げたということで、これについて特に抗議をされるような中身ではないと考えている」
と応じたもの、明示的な反論はしなかった。
このような状態で、北方領土の動画が尖閣・竹島と同時公開されなかったことには批判もでている。例えば作家で元外交官の佐藤優氏は、ウェブコラム「眼光紙背」で、「ロシアに対して誤ったシグナルを送ることになる」と指摘している。