外務省が沖縄県の尖閣諸島や島根県の竹島が日本固有の領土であることを説明する動画をウェブサイトに公開し、中国と韓国が反発している。そんな中で置き去りにされているのが北方領土問題だ。
北方領土の領有権をPRする手段については「何らかの形で考える」と心もとない上、閣僚の北方領土返還を求める発言にはロシア側が「ビザ無し交流」参加拒否をちらつかせるなど、日本側は終始押され気味だ。
報告書に「北方領土」の単語は1回も登場せず
日本政府は2013年2月に領土問題への取り組みを強化するための「領土・主権対策企画調整室」が立ち上げているが、尖閣・竹島問題と、北方領土問題に対する取り組みとでは、かなり温度差がある。
例えば、「企画調整室」の成果物でもある7月の「-戦略的発信の強化に向けて- 領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会報告書」では、竹島と尖閣諸島の問題が中心で、「北方領土」の単語は1回も出てこない。
担当大臣も積極姿勢とは距離があるようで、山本一太沖縄・北方相(領土問題相)は10月25日の会見で、尖閣・竹島の動画公開を受け北方領土に関する対応を聞かれたのに対して、
「北方領土については、今のところ、どういう予定になっているか分からないが、何らかの形で、動画なのか、フライヤーなのか、分からないが、やはり国内啓発、対外発信の方法を考えていくということになると思う」
と、大まかな方針を示すにとどまった。