アンドロイド搭載「低価格スマホ」に押されるiPhone
モトローラによると「Ara」は、フォンブロックスのプロジェクト参加者の力を借りながら開発を進める一方、世界中の開発者を募って広くアイデアを集める。無償のボランティア参加を求めるが、特に積極的に協力した100人に対しては、製品化が実現した際に初期版を無料でプレゼントするそうだ。
モトローラの親会社グーグルは、OS「アンドロイド」を無償で提供しており、利用する側が自由に改変できる。Araも同じコンセプトで、ハードウエアの基本内容は無償公開するという。また数か月以内に、開発者にAra向けの各種スマホ機能のモジュール製作を開始するよう呼びかけるそうだ。今冬には、初期版の「スマホキット」を出す予定だとブログで明らかにしている。外部の知恵を活用しながら、今までにないユニークな機能が生み出せるかもしれない。
スマホ市場は当初、米アップルの「アイフォーン(iPhone)」の独壇場だった。だが、無償で改良の自由度が高いアンドロイドが登場するとスマホメーカーが飛びつき、OS別シェアは一気に逆転した。最近では、アンドロイドを搭載した低価格のスマホの需要が高まっており、中国レノボや華為技術(ファーウェイ)といったメーカーが台頭してきた。アップルは最新モデルの「iPhone5s」が好調な半面、直近の2013年7~9月決算で3四半期連続の減益となったのも、スマホ低価格化のあおりを受けたとみられる。「廉価版」の触れ込みで投入した「5c」は、市場拡大を狙った中国では他の安価なスマホと比べるとずっと高額で、販売が苦戦しているとも伝えられている。
OSだけでなくハードウエアでも、「無償提供」を武器にアップルに攻勢をかける――。グーグルがモトローラを買収した背景には、こんな青写真を描いていたからかもしれない。