会計士側は法改正が「『納税者の利益』を著しく損なう」と主張
この意見広告に対して、公認会計士の業界団体にあたる日本公認会計士協会は
「主張・論拠には合理性がなく、国民・納税者に誤った認識を与え、加えて誠意を持って議論をしようとする信頼関係を損ねる」
として日税連に抗議。10月25日には日経新聞に意見広告を出し、
「公認会計士を税務業務の担い手から排除することは、納税者の選択の幅を狭め、『納税者の利益』を著しく損なう」
「監査・会計・税務は一体不可分であり、公認会計士はそれらすべての専門家であることが『国際標準』です」
と、名指しこそ避けたものの日税連の主張に反論している。
日税連が不足を指摘している税務能力についても、公認会計士試験の段階で「税法」科目に合格する必要がある上、資格取得後も研修が義務づけられていることを理由に問題ないとの立場も強調。さらに、
「公認会計士が税理士登録を行わずに税務業務ができるよう、必要な法改正を求めます」
と、逆に税理士業界へのハードルを下げるように求めた。
リーマンショック直後の09年頃から本格化した公認会計士の「就職難」が、この騒動の背景にあるとの見方も出ている。就職先を見つけられなかった会計士が税理士に流れ、税理士からすれば「畑を荒らされる」という懸念だ。だが、07年に4041人いた公認会計士の合格者は12年には1347人に激減。景気回復にともなって監査法人も採用数を増やしており、人材の奪い合いも起こっている。税理士側の心配は杞憂に終わる可能性が高い。
また、日税連の主張については、日本弁護士連合会(日弁連)も強く反対する声明を出している。