インフルエンザが猛威を振るう冬を前に、空気清浄機の市場が熱を帯びてきた。
ここ数年、空気清浄機は新型インフルエンザや中国で深刻化している大気汚染問題の影響で「特需」が生まれた。家電メーカーは微小粒子状物質の除去性能を競い、2013年秋は「素早くキレイ」がキーワードになっている。
空気清浄機「本来の機能」、除去率が試されている
家電量販店のPOSデータを集計しているジーエフケイマーケティングサービスジャパン(GfKジャパン)によると、2013年4~9月期の出荷実績は、台数ベースで前年同期比6.0%増となった。空気清浄機は2009年に新型インフルエンザの大流行をきっかけに市場が拡大。それ以降、「安定して売れています」(アナリストの山田早穂氏)という。
毎年春先は花粉などの除去を目的に売れるが、2013年は呼吸器系疾患を引き起こす微小粒子状物質「PM2.5」を除去するのに有効とされ、ますます売上げを伸ばした。GfKジャパンの山田氏は「最近は花粉症対策や冬のインフルエンザ予防以外のシーズンオフでも売れていて、家電メーカーも消費者の通年使用を意識しています」と話している。
とはいえ、空気清浄機が最も売れるのは毎年、風邪やインフルエンザ予防を目的に購入する人が増えてくる秋以降だ。空気が乾きやすい季節になると、ノドに潤いがなくなり、さまざまなウイルスや細菌に感染しやすくなる。
自由が丘メディカルプラザ小児科の髙嶋能文院長は、「風邪やインフルエンザのウイルスは湿度に弱い」という。最近、加湿機能付きの空気清浄機が増えているのも、こうしたニーズを満たしているためだ。
一方、家電メーカーが競っているのが「除去率」。中国の「PM2.5」問題が表面化して以降、ハウスダストやカビ・菌、花粉といった微細な粒子やインフルエンザ・ウイルスなどを、どれだけ除去できるのか――。いわば空気清浄機がもつ本来の機能に注目が集まるようになった。
空気清浄機は室内の汚れた空気を取り込んでキレイな空気を速く供給するので、清浄するフィルターの目が細かいほど微小粒子状物質の除去率が向上する。これまでの主流は「0.3マイクロメートル」だったが、「0.1マイクロメートル」の微粒子を通さないフィルター技術を搭載した空気清浄機が登場している。
前出の髙嶋院長は、「インフルエンザ・ウイルスは大きさが0.1マイクロメートルほどですから、フィルターで0.1マイクロメートルの微粒子を吸着できれば、ウイルスをほぼブロックすることができるでしょう」という。