なぜ似ているかは謎のまま 徐々に似る可能性は低い
もちろん、すべての場合に似ているということではなく、あくまで「総じて似ている」に留まる。だが、今回の研究で似ている部位が「目」だと分かったこと、体型などの全体的な雰囲気や先入観が影響する可能性が排除できたことは新たな知見となったようだ。
研究結果はインターネット上でも話題になり、「言えるような気がする。どんぐり目だもんな、お互いに(笑)」「うちのも一番可愛がってたオヤジにそっくりだったw」「実感有りです。よく言われました。まぁ、本来の飼い主は父なので、父≒私≒犬なのでしょうね」といった飼い主たちからの声も挙がっていた。
しかし一番気になる「どうして犬と飼い犬が似ているのか」については明確な答えが得られておらず、まだ研究が必要のようだ。中島教授やアメリカの研究者が行った実験では、飼育年数との相関関係が認められないことから「飼っているうちに似てくる」という可能性は低いとしている。それより、人は見慣れたものに好感を抱くため、無意識のうちに自分によく似た犬を飼い犬として選択しているとの見方が強い。これは犬に限らず、カップルや夫婦が似ている理由としても指摘されている。
今後の課題は「目」のどのような特徴が「似ている」という判断に影響するかを明らかにすること。「例えば、経験ではなく遺伝によって規定される特徴(目の色など)が似ているのであれば、飼っているうちに似てくるのではなく、飼い主が自分に似た顔の犬を選んでいるといえる」(中島教授の発表コメントより)。これが分かれば「なぜ犬と飼い主が似ているのか」の問いの手がかりになるだろうと期待をかける。