ビデオでは、一塁手が捕球した後に滑り込んだように見える。日本シリーズの第2戦で、楽天の打者は明らかにアウトであり誤審だったのではと、ネット上で不満が続出する事態になっている。
2013年10月27日の第2戦は、巨人が先勝して迎え、楽天は、目下24連勝中の「絶対的エース」田中将大投手が先発のマウンドに立った。
「田中将大に2点目が入りました!」
田中投手は、日本シリーズ初登板で、しかも仙台の本拠地での試合だ。それだけに、実況中継したテレ朝も「東北復興の思い背負いマウンドへ!」とドラマチックに放送した。
誤審だとされたのは、0-1で巨人をリードしていた楽天7回裏の攻撃の場面だ。
2死1、3塁となったところで、巨人はピッチャーを替え、打席には、藤田一也選手が立った。そして、打った打球はセカンドゴロになり、藤田選手は、果敢にヘッドスライディングをした。
一塁塁審は、ここでセーフの判定をした。実況アナウンサーも、「楽天に、田中将大に2点目が入りました!」と叫んだ。しかし、巨人の原辰徳監督はすぐさま抗議に飛び出した。普段はそれほど抗議しないので、珍しいという。「際どいタイミング」と紹介されたが、続いてビデオが流されると、明らかにタイミングはアウトだった。ロペス一塁手の足も、断定はできないものの、一塁ベースに付いているように見えた。本人も、セーフの判定直後に信じられないといったジェスチャーをした。
解説者の古田敦也さんは、見解を聞かれて、「まあ、タイミングから言えばね、アウトっぽいタイミングなんですけれども」と漏らした。そのうえで、原監督について、「これで判定が変わるわけないと思ってるんですけど、やはりまあ抗議をしないといけないっていうのはありますね」と同情した。
試合は、これで楽天に2点目が入り、結局、1-2で田中投手が逃げ切った。
本塁打以外でもビデオ判定を採用すべき?
セーフの判定を受けて、ネット上では、審判に対する疑問の声が殺到した。
「余裕のアウトwww」「これはひどい誤審」「本当にいい試合だっただけにあそこだけは本当に冷める」
さらに、ネット上では、ファン同士がチクリ合う様相も見せている。
巨人ファンと見られる書き込みからは、「これがマー24連勝の真実」「仙台名物震災ジャッジですね」「これが無ければ負けてた試合だったな」と揶揄する声まで出た。一方、楽天ファンらからは、「だったら普段からほかのパリーグファンが大騒ぎしてる」「誤審が悪いのに何故球団を叩くんだ?」「巨人もだいぶ審判に助けてもらってるようだけどね」といった反論が上がっていた。
誤審騒動は、前回2012年の日本シリーズでも起きている。
巨人対日本ハム戦で、巨人の打者にボールが当たっていないのに、日ハムの投手が危険球を投げたとして退場処分になったのだ。この試合で巨人は勝ち、その勢いで日本一にもなっている。
米大リーグでは、誤審も目立つことなどから、2014年のシーズンから本塁打以外でもビデオ判定を採り入れる見通しになっている。日本でも3年前から本塁打にビデオ判定が行われているが、ネット上では、日本のプロ野球も同様にすべきだとの声が出ていた。
ただ、本塁打以外に拡大するには、クリアすべきことも多いようだ。報道によると、野球界には、試合が長引く、審判の威厳が失われる、システム構築に相当のお金がかかる、といった問題点を挙げる声が出ているという。