菅直人ぶち上げるお笑い「みの失脚陰謀論」 原発絡みの根拠は「小説とネット」だって

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   「みのもんた失脚は、『原子力ムラ』の陰謀」――菅直人元首相が、こんなトンデモない情報をブログで公開し、各界にいろいろな意味で「衝撃」を与えている。

「みのもんた氏は汚染水問題など原発問題で東電と安倍総理を厳しく批判していた。この発言に対して原子力ムラがみのもんた氏失脚の陰謀を仕掛けたという説が流れている」

スキャンダルをでっち上げる恐怖の「原子力ムラ」…?

「みのもんた騒動」は原子力ムラによる陰謀?(写真は菅直人元首相。2012年11月撮影)
「みのもんた騒動」は原子力ムラによる陰謀?(写真は菅直人元首相。2012年11月撮影)

   みのさんによる「朝ズバッ!」(TBS系)降板会見が行われたのと同じ2013年10月26日、菅元首相はブログで「みのもんた氏に対する陰謀説」と題した一文を公開した。

   その中で菅元首相は、電力会社を中心とした「原子力ムラ」が、膨大なコマーシャル料などを通じてマスコミを「支配」し続けてきたと指摘、事故後も自らに対し「(事故直後に)海水注入を止めさせたのは菅総理」とのデマを流すことで、首相辞任に追い込もうとしたと持論を展開する。そして「原子力ムラ」は今なお、

「原発稼働に慎重な知事や議員を引きずりおろすため、一部マスコミを使ってスキャンダルをでっち上げる陰謀」

を企み続けているという。「東電に批判的だった」みのさんも「でっち上げ」の犠牲になった――それが菅元首相の見立てらしい。

   「原子力ムラ」が人気司会者を失脚させるような「陰謀」に手を染めているとすれば、ことは極めて重大だ。ましてや無名の一個人ならともかく、「3.11」当時の首相、そして現職国会議員からの告発であり、容易に無視できる問題ではない。

肝心の部分は「うわさ」ばかり

   もっとも菅元首相のブログは、肝心の部分があやふやだ。独自の情報網でもあるのかと思えば、

「陰謀を仕掛けたという説」
「マスコミ報道以上のことは知らない」
「という、うわさが流れている」

と、重要なところがことごとく伝聞情報になってしまっている。

   そもそも、みのさんの次男逮捕・番組降板が「陰謀だという説」が出回っているのは、ツイッターを始めとしたネット上での話だ。確かに急進的な脱原発を唱えるユーザーたちの一部では次男逮捕報道の直後から、こうした怪情報がまことしやかに囁かれていた。

   しかし、これらの書き込みのほとんどは、「みのさんが東電に批判的な発言をしていた」という以上の根拠が示されていない。そうでなくともネット上では何かあるたびに「原子力ムラの陰謀」と騒がれることがもはや恒例行事化しており、たとえば最近では山本太郎参院議員の離婚、「週刊朝日」編集長の解任問題などでも、この手の話が飛び出している。

TBS「ご指摘のような事実はありません。以上」

   もう1つ、菅元首相が持ち出しているのが、講談社から9月に刊行された『原発ホワイトアウト』(若杉冽著)だ。菅元首相は同著についてたびたび言及しており、再度「みの問題」に触れた28日のブログでもこう記す。

「原子力ムラの実態に関心のある方は、すでに紹介した講談社から出ている『原発ホワイトアウト』をお勧めする」

   現職キャリア官僚が匿名で書いたという同著では、電力会社や官僚たちが、脱原発を唱える人々をあの手この手で陥れていく姿が描かれている。菅元首相が言う政治家に対する「スキャンダルでっち上げ」も、まさに同著の内容そのままだ。しかし、同著も事実を基にしているとはいうがあくまで「フィクション」に過ぎない。「みの陰謀説」の根拠としては弱い。

   とはいえ、仮にも元首相が「報道への圧力」の存在を示唆したのだから、TBSにとってはゆゆしき問題のはずだ。J-CASTニュースでは念のためTBSに対し「陰謀」の有無を取材したが、戻ってきたのはごくごく短い回答だった。

「ご指摘のような事実はありません」
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