システム構築や、販促費、口座の維持管理など、膨大な費用
ネット証券では、松井がNISA口座での株式売買手数料を恒久無料としたほか、SBIや楽天も2014年中の株式売買を無料とするなど、手数料の安さを前面に打ち出す。対面、ネットともに、NISA向けや、売買手数料無料といった投資信託を投入している会社が多い。
だが証券会社にとって、NISAは決して「おいしい」話ではない。投資家に積極的な株売買や投資信託購入をしてもらって、手数料を落としてもらう――というのが、証券会社個人部門の収益モデル。
ところが、NISA枠は年間100万円までで、いったん売却すると、売却した分の枠は使えない。つまり、売却しない方が、非課税の恩恵を長く受けることができる、長期投資に向く制度なのだ。手数料がなかなか落ちない上、専用口座のシステム構築や、キャンペーンなどの販促費、口座の維持管理など、膨大な費用がかかってしまう。
それでも証券各社がNISAの旗を振り続ける最大の眼目は、「投資未経験者の取り込み」にある。日銀の資金循環統計によると、1590兆円の個人金融資産のうち、54%は現預金が占める。株式や投資信託の割合は12%強に過ぎない。