大ヒットマンガ「進撃の巨人」が米国など北米でも「大進撃」を続けている。
アマゾンの売上ランキングで上位を独占し、その勢いはとどまることを知らない。人気の秘密はどこにあるのか。
アマゾンのマンガの売り上げ1位、2位を独占
「進撃の巨人」は諫山創さん原作のマンガで、講談社「別冊少年マガジン」の2009年10月号から連載が始まるとすぐに人気に火が付いた。舞台となっているのは1800年代のヨーロッパやアジアを連想させる世界。人間は高く強固な壁を作り、その中に逃げ込んで生活している。人間によく似た裸の巨人が出現して人間を襲撃、捕食するためで、そんな巨人と戦う様子が描かれている。
コミックは現在11巻まで発売され、2013年8月末の時点で計2300万部を売り上げた。テレビアニメも13年4月から9月まで放送され、そのDVDやブルーレイも記録的なヒットとなっている。
そして、アニメが放送された13年春ごろからアジア、アメリカ、ヨーロッパなど海外でも異様な盛り上がりを見せるようになった。これまで誰も見たことがなかったような世界観と巨人の残忍性が大きなショックを与えたようだ。北米では「ATTACK ON TITAN」の名前で12年6月に第一巻が発売された。
13年10月21日の17時現在の米アマゾンの売り上げランキング「Best Sellers in Manga Comics & Graphic Novels」を見ると、第1巻が1位、2巻が4位、3巻が6位になっている。米ニューヨークタイムスのウエブ版が発表したベストセラーランキングでは、13年10月6日~10月12日の一週間で「Manga」部門1位、2位を占め、ベストテンに「ATTACK ON TITAN」が5冊入っている。
命を賭して困難に立ち向かう少年少女の姿が共感を呼ぶ
どうしてこれほどの人気になっているのか。米アマゾンの「ATTACK ON TITAN」に関するレビューには、
「このマンガはアクション、サバイバル、ホラーなどを読みたいと思っている人、誰にでも強く推薦いたします」
「ストーリーが面白いだけでなく芸術スタイルも素晴らしいです。そして、緻密に計算されたリアリティーがあって誰にでも推薦できるマンガです」
「私はアニメが好きですが、このマンガはアニメと同じくらい刺激的です。剣術、アクロバットなど、あなたはまるで怪物が人間を捕食するように?より多くの満足が得られるでしょう」
などと書かれている。
連載が続いている「別冊少年マガジン」の編集長、鈴木一司さんはアメリカでの人気についてこう分析している。
「巨人の謎、独創的な世界観などが注目される作品ですが、ストーリーは巨人に絶望的な戦いを挑む少年少女たちを描いた、とてもシンプルなものです。命を賭して困難に立ち向かう少年少女たちの姿こそが国、文化を問わず心を打つのではないかと思います」