生命保険各社が、介護関連の保険商品を強化している。
国の介護保険は、介護サービスを受ける際の負担額が所得によっては今後上がる見込み。これまでも国の介護保険を補う形の民間保険はあったが、「介護の経済的負担に備えたい」との需要が高まるとみて攻勢をかけているようだ。
数少ない成長分野と見る
介護サービスの自己負担額は現在、原則として1割。しかし介護保険財政は将来的な悪化が見込まれるため、厚生労働省は「一定以上の所得」がある人は倍増の2割負担を求める方針。来年の通常国会で関連法案が成立すれば、2015年度から実際に負担が増える。所得基準は年金収入のみの人で「年間280万円以上」で線引きする見込みで、65歳以上の人の2割程度があてはまる。
民間生保は、これに目を付けて介護保険関連商品の販売促進しているのだ。日本生命保険など主要生保は今年度上半期、前年度比1~2割程度、介護関連の新規契約数が増えているという。ただし現状の加入者はそれほど多くないのも事実。生命保険文化センターが昨年度に実施した調査(かんぽ生命除く)によれば、医療保険の世帯加入率が92.4%なのに対し、介護保険は14.2%にとどまる。裏を返せば、頭打ちの国内保険市場のなかで、数少ない成長分野とも言えるわけだ。