生物多様性を守るなどとして、静岡県浜松市が2013年度からスズメバチの駆除費用を補助するのを廃止したと報じられた。これに対し、ネット上では賛否両論の意見が出ている。
夏から秋にかけては、スズメバチの巣が大きくなって、その動きが活発になる時期だ。
「生物多様性を尊重する姿勢」と報じられる
特に2013年は、スズメバチの巣を駆除してほしいとの相談が増えている、と各地で報じられている。春先から天気がよく、梅雨の時期も雨が少なかったため、ハチの生育に向いていたらしい。
そんな中で、浜松市が駆除費用を一律3150円補助する制度を廃止したと、中日新聞が2013年10月23日に報じた。市が「『進んでスズメバチの命を取るべきではない』と生物多様性を尊重する姿勢に方針転換し、市民に自己防衛を促す」ためだという。
一方で、厚労省の統計によると、スズメバチなどのハチに刺されて死ぬ人は毎年20人前後にも上っており、浜松市にも毎年1000件を超える駆除の相談が寄せられている。自ら駆除するにしても、平均で8000円、屋根といった高い場所などでは、2~3万円もかかるそうだ。
記事では、こうした状況を紹介したうえで、「駆除と生態系保護のどちらを優先すべきか」と疑問を投げかけている。
ネット上では、浜松市が補助を廃止することについて、疑問の声も多い。「人の住んでる場所から駆除しても絶滅したりしないだろw」「共存を建前にした経費削減でしょ」「危険なんだから駆除すんのは当然」といったものだ。
一方で、「ハチの巣取るのに税金って変じゃね?」「自分の家に巣が出来たら自分の金で駆除すればいい」と理解する声も出ており、「こちらが何もしなければ襲ってこない」として十分に共存できるとの指摘もあった。
住宅地の駆除だけでは絶滅したりしない?
浜松市の生活衛生課では、J-CASTニュースの取材に対し、経費削減ではないのかという指摘については認め、「行財政改革でいろいろ見直しをしており、その一環ではあります」とした。
ただ、「個人の所有地にできたスズメバチの巣については、管理責任はその個人にあります」とも強調した。これまでは、市民サービスの一環として、市町村合併前に森林の多い地域で行っていた政策を引き継いでいたという。
また、生物多様性を守ることも、補助廃止を決めた理由の1つであると説明した。それは、スズメバチがいろんな虫を捕食しており、駆除しすぎれば、毛虫など農作物に被害を与える害虫も増えるといった悪影響があるということだとした。
もっとも、スズメバチは森林にも巣を作っており、住宅地で駆除しただけで絶滅したりしないのではとの指摘については、「それはそうかもしれません」と言っている。