阪急阪神ホテルズがレストランなどのメニューを偽って提供していた問題が発覚して以降、同社の直営ホテルには問い合わせや苦情が殺到し、未だ止まない。
ホテルの従業員は、電話やフロントに訪れた利用者の対応に追われていて、なかには「もうおたくのホテルは使わない」といった苦情や、「2年間、毎週のようにオムライスを食べていた。50食分の代金を返してほしい」といった要求もあったという。
返金、7万8775人に対して1億1000万円を見込む
阪急阪神ホテルズが運営する8か所の直営ホテルのレストランや宴会場と、レストラン事業部で提供した料理のメニューに誤表示があった問題で、記者会見から一夜明けた2013年10月23日、ホテル側には300件を超える苦情や問い合わせが寄せられた。
ホテルは利用者からの問い合わせや返金作業に追われ、大阪市北区にある大阪新阪急ホテルでは22日夜から従業員が泊まり込みで電話に応じた。フロントを直接訪ねて来るお客もいて、利用日時や料理名を確認しながら返金に応じた。また、六甲山ホテル(神戸市灘区)は従業員10人が付きっきりで苦情の電話などに応対した。
希少な食材や鮮度による料理の品質がホテルの格式や高級感を演出していることもあり、メニューの誤表示はホテルの信用に関わる大失態。苦情や問い合わせの電話は10月24日も鳴り続けている。ホテル側は、「前日(23日)に比べるとやや減りましたが、それでもまだ電話をとることに追われ、詳細はまとめきれていません」と話している。
阪急阪神ホテルズでは、誤表示のあったメニューの料理を食べた客に対して、料理の値段に関係なく最低1000円を返金。アラカルトなどは代金に加えて一定の金額を、コース料理やバイキング料理の一品に誤表示があった場合は相当額を返金する、としている。
同社の試算によると、誤表示のあった料理を食べた人は延べ7万8775人。返金額は1億1000万円を見込んでいるとされる。返金にはレシートがなくても応じる。
とはいえ、すべての申し出に応じているわけではない。たとえば、冷凍の魚を「鮮魚」と偽っていた第一ホテル東京シーフォート(東京都品川区)では、レシートがない場合、予約台帳や会員カードでの履歴などと照会して確認をとっている。
同ホテルで返金の対象となるのは4万3153人。誤表示の料理を提供していた期間が2012年4月1日から13年7月30日までとわかっているが、バイキング料理の一品ため、実際には「鮮魚のムニエル」を口にしていない人がいる可能性はある。