立命館大学はびわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)で、「100円朝定食」を始めた。朝食をとらずに通学する学生が多く、健康管理に配慮してもらうのが目的だ。
同じ取り組みは、全国の複数の大学で実施されている。朝食無料という大胆なサービスを提供する例もある。
毎朝朝食をとっていない学生が4割
ご飯とみそ汁、加えて焼き魚やひじき、ほうれんそうのおひたし、納豆などから3品が選べる栄養満点の献立。しかも100円と破格の値段だ。立命館大では2013年10月21日~11月1日の期間、朝8時15分~8時40分までの間にレジで精算を済ませた学生を対象に提供する。
同大学の2012年度学生定期健康診断問診票によると、朝食をとるかという設問に対して回答者2万8340人中「いいえ」が9.3%、「時々」が31.5%に上った。つまり全体の4割が、毎朝は食事をとっていない。在校生の約半数がひとり暮らしをしているが、保護者を対象にしたアンケートでは、子どもの健康が不安との意見が多く寄せられた。このため、学生が朝食をとる習慣を身につけて健康管理と生活習慣を見直してもらおうと試験的に導入したという。従来260円で提供していた朝食と差額が出るが、学部の在校生の保護者が加盟する「父母教育後援会」が支援して100円での提供が実現した。
立命館大広報課に電話取材すると、「口コミで学生の間に広がって、利用者は増えているようです」と話す。学生の食生活改善が目的だが、その延長線上として授業の出席率向上につながればと願う。
実は立命館大より先に「100円朝食」を提供している大学は少なくない。
福岡大学(福岡市)では10月21日~25日に実施しているが、2010年7月の第1回から数えて今回で8回目となる。メニューは和食のほか、パンにベーコン、スクランブルエッグ、バナナがつく「洋定食」や、カレーセットが選べる。通常は320円で、差額分は学生健康保険互助組合が負担する。福岡大によると、前回は延べ1201人が利用したという。
北海道工業大学(札幌市)では、4月と5月の2回にわたって同様のキャンペーンが行われた。メニューは日替わりで、品数も多い。「照り焼きハンバーグ」「豚生姜焼き」「唐揚げ」と朝からしっかり食べられそうだ。取り組みは2010年から続いている。
14年間、期間限定で「朝食タダ」
さらに大盤振る舞いなのは、白鴎大学(栃木県小山市)だ。1999年から毎年、期間限定で学生を対象に朝食を無料で提供している。今年は4月8日~26日の2週間、キャンパス内にある3か所の食堂で実施された。学生には好評で、「授業にスムーズに入れる」「経済的に助かる」「毎朝みんなで食堂に集まることで1日の流れができて勉強に身が入る」との感想を、4月20日付の下野新聞が伝えている。
無料期間終了後も、学食1か所では100円朝食が提供される。1日限定150食だが、無期限だ。大学側の負担により実現しているという。
京都産業大学(京都市)の事例は、立命館大が100円朝食を導入する際に参考にしたそうだ。「あさイチ定食」と名付けて4月8日から提供しているが、4月と9月のそれぞれ2週間ずつ、1日限定50食で無料でふるまった。
立命館大では今回の試験導入を経て、2014年から衣笠キャンパス(京都市)と合わせて「毎日100円」をスタートさせる予定だと、広報担当者は明かした。「激安朝食」目当てに朝から学生が学校に来て、授業の出席率も上がれば言うことなしといったところか。