フジテレビ系「FNS27時間テレビ」のコーナーでタレントの加藤浩次さんがAKB48の渡辺麻友さんの頭を蹴る場面などがあった問題で、審議をしていた放送倫理・番組向上機構(BPO)の「放送と青少年に関する委員会」が番組の問題点を指摘した。
その内容は、番組コーナーで加藤さんがゲストにプロレス技をかけたり蹴ったりする演出に対してだけでなく、「女性アイドルや女性芸人に対する性的な際どい演出」についてまで及び、ネットでは賛否の議論が巻き起こっている。
「不快に感じる視聴者もいるだろうことに思いが至っていなかった」
同委員会で審議されたのは、2013年8月3日に放送された27時間テレビの「生爆烈お父さん」のコーナーだ。「めちゃ×2イケてるッ!」でおなじみのコントで、出演者を家族に見立てて、父親役の加藤さんがゲストに説教してプロレス技をかける。加藤さんが渡辺さんの両足をつかんでジャイアントスイングで振り回し、追い討ちをかけるように頭を蹴りつけたシーンが問題になっていた。
BPOの10月22日の発表によると、このシーンの前後について視聴者は、「当然おもしろいと感じる文脈を見つけられ」なかったとして、多くの人が違和感を持ち「不快だった」「危険すぎる」などのクレームを寄せられた。
顔を足で踏むことは「人間の尊厳に関わる行為で、さらに不快感を増大させた」といい、「爆烈お父さん、女性芸人、女性アイドルグループの三つ巴の面白さになっていないと受け止めた」とBPOにクレームを寄せた視聴者の意見を代弁した。
また、ジャイアントスイングをかけられた女性ゲストのパンツが見える「性的な際どい」演出に対しての問題点も指摘している。技の最中に渡辺さんのスカートがめくりあがり、ピンク色の「見せパン」が全開になっていたからだ。
フジテレビは「でん部の露出は女性芸人の持ち芸であり、笑いの表現方法としてバラエティー的に許容範囲であると認識していました」としているが、BPOは、
「女性芸人のお尻が丸見えになる、女性アイドルがパンツも露わに寝転んだり爆烈お父さんに股を開閉されたりするシーンがお茶の間で家族みんなが視聴する時間に流されれば、不快に感じる視聴者もいるだろうことに思いが至っていなかったのではないかと考えます」
と厳しく批判した。
ネットでは賛否が分かれる
さらに、日本民間放送連盟の民放連放送基準を挙げ、
「これに抵触するものではないかという認識が欠けていたのではないでしょうか」
と追及した。
該当する放送基準は、「性に関する事柄は、視聴者に困惑・嫌悪の感じを抱かせないように注意する」(73条)、「全裸は原則として取り扱わない。肉体の一部を表現する時は、下品・卑わいの感を与えないように特に注意する」(78条)、「出演者の言葉・動作・姿勢・衣装などによって、卑わいな感じを与えないように注意する」(79条)だ。
こうしたBPOの考えにネットでは賛否両論だ。「たまたまあのシーンを見ただけの私ですらめっちゃ不快だったもん」「こんな番組があること自体おかしい」と賛同する意見がある一方で、
「モー娘。の奴らとかも同じことやられてたけど別に大して騒動になってなかったのに何で今回のAKBだけこんなに騒がれることになってんだろうか」「そんなこと言ったら旅番組での入浴シーンやたまにやる猪木の闘魂注入なんかもダメなんじゃ?」「テレビがつまらなくなったのは、BPOとクレーマーのせいじゃん」
などと批判する意見も出ている。