「学校のいじめと一緒なんですよ」
しかし、しまむらの事件でも、2013年10月22日夕現在まで、そうした報道などは出ていない。大津北署や佐賀署に取材しても、ドラマの影響は分からないといい、犯行の動機についてはこれから調べに入るとのことだった。
もっとも、土下座については、漫画や映画など様々なメディアで最近目にすることが多い。
漫画では、「どげせん」「謝男(シャーマン)」といった作品、映画では、宮藤官九郎さん脚本の「謝罪の王様」が土下座を直接的なテーマにしている。また、ほかの漫画などでも、土下座のシーンは絵になりやすいためか、目にする機会は多いようだ。
NHKの番組「クローズアップ現代」で2013年10月8日に放送された「氾濫する『土下座』」によると、1996年の薬害エイズ事件で製薬会社が被害者に土下座して以来、テレビでもこうしたシーンが増えてきた。最近では、原発事故で東京電力の幹部らが土下座したことが話題になった。
番組では、東京大学史料編纂所の山本博文教授が土下座の歴史を解説し、江戸時代に大名らの参勤交代で農民や町人がしていた儀礼が、現在は相手に対する制裁のようなものにも変わったと指摘した。また、映画監督の森達也さんは、謝罪ではなく屈服になっているとして、「学校のいじめと一緒なんですよ」とした。「つまり、それを排斥する過程の中で、自分たちは多数派としての実感を持てるわけです、安心できるわけです」という。
土下座強要の続発は、ドラマや漫画などの影響というより、こうした心理が働くことから来ているのかもしれない。