アジアでは最大3.2倍に伸びる
現時点での世界の原発の発電能力は373ギガワットだが、2030年には、「高」で93.6%増の722ギガワット、「低」の場合で16.6%増の435ギガワットに増える。
地域別に見ると、傾向が大きく異なっているのが分かる。西欧では114ギガワットが「高」で8.8%増の124ギガワット、「低」で40.4%減の68ギガワットと、シナリオによっては大きく割合が減少する。ドイツは「脱原発」を打ち出しているほか、フランスのオランド政権も原子力への依存度を下げる方針を打ち出している。この方針が影響しているようだ。
だが、アジアに目を向けると、現在の83ギガワットが「高」の場合で3.2倍の268ギガワット、「低」でも77.1%増の147ギガワットを予測。高い経済成長が電力需要を押し上げていることが背景にある。
東欧でも、現在の48ギガワットが「高」のケースで2.6倍の124ギガワット、「低」でも64.6%増の79ギガワットと高い伸びを予測している。この予測では、「東欧」にロシアや中東、南アジアを含めて試算している。そのため、ロシアやインドの経済成長が反映されている模様だ。
天野之弥事務局長は、9月に開かれた総会で、調査結果について
「最新の予測では、今後20年は世界的に特にアジアで原発利用が継続的に伸びていることが示されている」
と話している。
安倍政権は2013年に入ってトルコ、アラブ首長国連邦(UAE)と原子力協定を結んだほか、サウジアラビアとも交渉開始で合意しており、原発輸出に向けた動きを加速させている。