中国でPM2.5が計測不可能な「爆表」に 日本へ流れてくることはあるのか

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   中国で発生している微小粒子状物質「PM2.5」の問題が深刻化している。北京市だけでなく、東北部に位置する黒竜江省のハルビン市でも大気汚染が急激に悪化し、計測器が振り切れて計測不能になる「爆表」になった。

   中国で発生したPM2.5は風向きによっては日本に流れてくる可能性があるため、その危険性や動きが注目されている。

PM2.5で視界が真っ白

   ハルビン市では2013年10月20日から21日にかけて、PM2.5の濃度が急激に上昇して1立方メートルあたり1000マイクログラムを超えた。これ以上の計測が不能なレベルで汚染物質が浮遊するという珍しい状況だ。視界が50メートル以下になり、高速道路は一時通行止め、空港も閉鎖された。市内の小中学校もすべて休校になった。気象当局では外出を控えるよう呼びかけている。

   中国中央テレビの現地レポートの映像でも、まるでカメラが曇っているかのように、もやであたり一面が覆われていた。歩行者はみなマスクを付けており、標識やハザードランプもよく見えない。映像を見た人からは、

「火山が噴火して灰でも降ってるのか?とおもった」「まるで映画で砂漠の砂嵐に突っ込んだ時みたいな、または極寒の地で吹雪に突っ込んだような?」「こりゃ人間が生きて行ける環境じゃない」

といった感想ツイートが出るほどだ。

   ハルビン市で急激にPM2.5の数値が上昇したのは、汚染物質が拡散しにくい気象条件に加え、石炭を使った家庭向け集中暖房が20日にスタートしたのが原因と見られている。独立行政法人・国立環境研究所の『環境儀No.21』(2006年)によると、中国東北部では暖房設備として、「6階から9階建ての大規模な団地群のなかに大きな煙突のボイラーが設置」され、「熱湯か蒸気を団地の各戸に供給して冬場の暖をとる」のが一般的という。

   中国でのPM2.5濃度上昇で懸念されるのは日本への影響だ。10月22日放送のTBS系「朝ズバッ!」の取材に対し、九州大学応用力学研究所の竹村俊彦准教授は、

「ここ1週間ぐらいの話をしますと台風27号の影響で、日本付近は東もしくは南よりの風が吹きますから、中国からの空気は流れて来ない状況になります。日本への影響はここしばらくほとんどないと考えられる」

と答えている。しかし、「気象条件によってはシーズン問わず飛来することはある」として、ぜんそくを持っている人や、循環器系や心臓に疾患がある人は注意をする必用があるという。

PM2.5に「発がん性認定」で中国政府も対応へ

   PM2.5は10月17日に、世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(IARC)から発がん性があると認定されたばかりだ。発がんリスクを5段階で評価する指標で、最も危険の高い「グループ1」に分類され、タバコやアスベストの危険性と並んだ。IARCの推計では、2010年の大気汚染が原因の肺がんによる死者が世界で22万人に上ったという。

   こうした事態を受けて中国政府もようやくPM2.5の対応に乗り出した。産経新聞や日本経済新聞などによると、中国財政省が北京市、天津市、河北省、山西省、山東省、内モンゴル自治区に50億元(約800億円)の対策費を投入することを決めた。PM2.5の濃度を2017年までに15%以上下げる大気汚染対策を掲げており、エネルギー消費に占める石炭の割合の低減や、環境負担が大きい旧式自動車の処分などを推進するという。

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