代理店に問題が起きて「知らん顔」をするのはどうか
青森公立大学経営経済学部准教授の木暮祐一氏は、「オプション強制」はKDDIに限らず、NTTドコモやソフトバンクモバイル(SBM)の店でも行われていると前置きしたうえで、「そうしないと、販売店がもうからない。特にauショップは状況が厳しいと聞いています」と話す。
iPhone本体の価格は決まっているが、キャッシュバックなど値引きは販売店が自由に設定できる。ドコモやSBMとの競争に勝つために端末を数多く売ろうと、店によっては相当額の値引きをするため薄利多売に陥りやすい。それだけに、少しでも多くのオプション加入者を獲得する必要があるというのだ。たとえ翌日に解約されたとしても、「おそらくキャリアとの間で、いったん加入すれば報酬が支払われる契約を結んでいるのではないでしょうか」とみる。
ただ木暮氏は、販売店側の事情に一定の理解を示す。auショップは代理店であり、KDDIの直営ではないため、自力で採算を向上させねばならない。端末販売では収益アップを望めない以上、「本意でなくても」オプション加入者をかき集めるしかないというのだ。木暮氏自身、auショップでiPhone5sを購入した際には、値引きと「交換条件」でオプション加入を求められたと明かす。一方KDDIは、「スマートパス」をはじめ自社主導のサービスが多く、当然ユーザーを増やして利用料をかせぎたい。表向きは販売店に指示していなくても、暗黙のプレッシャーが存在するのではないかと推測する。
店側によるオプション強制というのは、もちろんいただけない。だが、代理店によるこうしたスレスレの販売手法で、MNPによる利用者獲得増やコンテンツサービス拡大など恩恵を受けているのはKDDI側だろう。いざ問題が起きれば知らん顔をするのはどうかと、木暮氏は疑問を呈した。