社長も知事もホリエモンも皆踊る AKB「恋チュン」は「就活」対策?

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   県知事から有名企業のトップ、著名人までもが次々と、AKB48になりきって踊っている。誰も彼も結構いい年のはずだが、やけにキラキラして楽しそうだ。

   話題となっているのは、「恋するフォーチュンクッキー(恋チュン)」。2013年10月21日までに、YouTubeで公開された「踊ってみた」動画はすでに20バージョンに及ぶ。いったい何が彼らをAKBダンスに駆り立てるのか。

知事さん、ノリノリすぎませんか

キレのいいダンスを披露する神奈川県の黒岩知事(YouTubeより)
キレのいいダンスを披露する神奈川県の黒岩知事(YouTubeより)
職員「知事、『恋するフォーチュンクッキー』の神奈川県バージョンを作らないか、という話が来ています」
知事「AKB? ここは神奈川県庁だぞ? ダメだっ……すぐやろう!」

   本人出演の寸劇から始まるのは、18日にYouTubeで公開されたばかりの「恋するフォーチュンクッキー 神奈川県Ver.」だ。カメラは神奈川県庁を振り出しに、横浜、鎌倉、茅ヶ崎、箱根――といった具合に県内の町を次々に映し出す。そこでは、県の職員や各地のご当地キャラたちが、AKBの楽曲に合わせて、あるいははにかみながら、あるいはノリノリで、短いダンスを披露する。

   神奈川県によれば、「神奈川の魅力を満載に」という黒岩祐治知事直々の指示の元、ロケは約70か所、5日をかけて完成させたという。黒岩知事も複数回登場、そのステップはなかなかキレがいい。

   一連の動画の雛形となったのは、AKB48公式チャンネルが7月19日に公開した「STAFF Ver.」だ。AKBメンバーたちの代わりに、「裏方」スタッフが入れ替わり立ち代わり出演するもので、「さまざまな部署で働く職員たちが次々に登場し、各人の職場などをバックにダンスする」といういかにも「企業紹介」にぴったりのフォーマット、また比較的簡単な振り付けもあって、じわじわと人気が上昇し始めた。

   サマンサタバサ、サイバーエージェントなどの企業に加え、自治体では佐賀県庁が140万回を超える再生数を記録し大きな話題に。評論家の宇野常寛さんらによる「PLANET Ver.」では、堀潤さんや濱野智史さん、岩崎夏海さん、さらには堀江貴文さんといった著名人まで「恋チュン」ダンスを踊る。AKB側が「公認」したもののみならず、ファンや少人数のグループによる「非公認」動画も少なくない。

タクシー会社の日本交通の場合は…

   ファンなどはとにかく、自治体や企業はなぜ「恋チュン」を踊ったのか。企業PRのために進んで参加し、AKB側と交渉して「公認」となったところもあれば、AKB側から提案を受けてこれに「乗った」ところもあるようだ。

   前者の例は、老舗タクシー会社の日本交通だ。「若い世代へのリーチ」を目指して入社1年目の若手社員が企画、渋い運転手たちがかわいらしいダンスを踊る姿が受け、再生回数は80万回を突破している。

「他社の動画を見て、『これはいける!』って。当初は皆さんの協力を得るのが大変だったんですが、完成してからは『なんで俺を出さなかったんだ』って言う方もいたぐらいです」(担当者)

   通販大手のジャパネットたかたは後者だ。PR相手は顧客のみならず、

「お客様もそうですが、会社の雰囲気や部署の裏側を知ってもらうことで、今後わが社に入社を考える学生さんたちにもアピールを、と考えました」

とのことで、将来の「就活」対策という側面もあるという。

神奈川県、佐賀県はともに「トップダウン」

   神奈川県と佐賀県は、ともに知事からの「トップダウン」で制作が決まった。自治体のこうした行動にはどうしても「税金の無駄遣い」との批判もあるというが、神奈川県の担当者は、「100万件以上の再生数というのは、凄い広報効果ですよ。制作にかかった費用以上の成果だと思います」と胸を張る。

   また佐賀県の担当者によれば、「意外な」効果も出ているそうだ。

「普段とは逆に若い職員が上司を指導するようなこともあり、職場が打ち解けて話しやすい環境ができたように思います。また子どもを持つ職員からは、自宅で練習することで子どもたちと会話の機会ができた、という話も聞きました」
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