フルハイビジョンの約4倍の解像度をもつ「4Kテレビ」商戦が、早くも熾烈になってきた。
4Kテレビをめぐっては、ソニーや東芝、シャープが先行。パナソニックも2013年10月19日に4K対応「VIERA」を投入した。さらに、韓国のLG電子が11月上旬から日本で4Kテレビを発売。液晶テレビでの、値下げ競争による「消耗戦」が再燃しそうな気配だ。
東京五輪の決定で期待高まる「4Kテレビ」
地上デジタル放送への移行後、販売不振が続いている薄型テレビ市場にあって、ようやく回復の兆しがみえてきた。それをけん引しているのが「4Kテレビ」だ。 一般消費者にとってはまだまだ割高感があるものの、家電メーカーらの予想を上回る売れ行きをみせている。
市場調査のジーエフケイマーケテチィングサービスジャパン(GfKジャパン)によると、2013年上期(1~6月)の薄型テレビ市場は、販売台数が前年同期比33%減の320万台と落ち込む一方で、販売価格の平均は5万6500円と同13%も上昇した。
高額だが、大画面で高精細の映像を楽しめる4Kテレビの好調な売れ行きが平均価格を大きく押し上げた。
東芝は6月、1インチ1万円を切る国内メーカー最安値を打ち出し、液晶テレビ「REGZA」シリーズから、50万円前後の58型4Kテレビのほか、65型(75万円前後)と84型(168万円)を発売。ソニーも6月に4K対応の「BRAVIA X9200A」シリーズ(55型50万円、65型75万円前後)を投入。シャープは「AQUOS」ブランドから、6月に70型(85万円前後)を、8月には60型(65万円前後)を発売するなど、この夏の商戦をにぎわした(価格はいずれも予想実勢価格)。
そうしたことから、50インチ以上の薄型テレビ販売に占める4Kテレビの数量構成比は、13年1月の1%未満から6月には7%まで拡大。8月の家電量販店の4Kテレビの売り上げは50型以上の大型テレビの中で、販売台数では6.7%、金額では18.5%を占めた。
GfKジャパンの調べでは、8月の薄型テレビの販売金額は、「4K効果」で25か月ぶりに前年同月を2.3%上回ったという。
さらに、追い風になりそうなのが、2020年の東京五輪の開催決定だ。1964年の東京五輪がカラーテレビが普及する契機となったように、2020年の東京五輪では4Kテレビや、早くも解像度16倍の8Kテレビの普及が加速するとの期待が高まっている。
総務省は2020年までに「4K」「8K」を楽しめる電波環境を整備するロードマップを策定。2014年に4Kテレビ、16年のリオデジャネイロ五輪の開催にあわせて8Kテレビの試験放送をそれぞれ始める計画で、20年の東京五輪までに8Kテレビの本格放送を普及させることを目指している。