人気漫画「進撃の巨人」の作者、諫山創(いさやまはじめ)氏のものだととみられるツイッターアカウントが植民地近代化論を主張するようなツイートをして物議を醸していると、2013年10月16日に韓国メディアが報じた。
日本でも以前から本人のものと見る向きがあるが、確認はされていない。現在はツイートも非公開になり、真偽は不明のままだ。
「人口と寿命を二倍にされた朝鮮人はユダヤ人とは違う」
16日、韓国のコミュニティサイト上に諫山氏のものとされるツイッターアカウントのキャプチャー画像が掲載された。タイトルには「進撃の巨人作家(非公式ツイッターアカウント)」とある。ツイートには以下の文章が記されていた。
「韓国ができる40年前にいた軍人を一括りに『ナチのようなもの』って発想するのはさすがに乱暴でしょう、あと統治されて人口と寿命を二倍にされた朝鮮人が民族浄化されたユダヤ人に当てはまるとも思えません、そんな雑なカテゴライズが誤解と差別の基本にはあるのでしょう」
ツイートは今年6月に個人に返信する形で投稿されたものだ。返信先のアカウントを遡ってみたが「感情的になりすぎていたようです。冷静さをかき戦争加担を大げさに取り扱いました」との返信があるのみで、発言の文脈は確認できなかった。しかし、どんな経緯での発言であったにせよ、韓国でも大人気となっている作品の「作者」というだけあり衝撃は大きかったようだ。
スポーツ京郷は「日本極右勢力が主張し、韓国の一部勢力が同調する『植民地近代化論』」にあたると紹介する。国民日報でも「日本帝国主義をたたえ、戦犯たちを擁護する発言」として、ファンから批判があがっていると伝えた。実際に韓国語の書き込みをみてみても「失望ですね」「殴ってやりたい」「歌までダウンロードしたがお金が惜しい」など批判的なコメントが多数あがっていた。
果たして、このアカウントは本当に諫山氏のものなのだろうか。諫山氏が公式で持っているのは「現在進行中の黒歴史」と題したブログのみ。ツイッターは「進撃の巨人」編集担当者によるアカウントだけで、開設時に諫山氏は「僕は『馬鹿発見器』に引っかかりそうなやっちゃダメな人です」とブログ上でコメントし、あくまで公式アカウントは作らないことを示唆しているのだ。ところが、日本のインターネット上でも「本人のもの」との見方が多い。それには、いくつかの理由がある。
ブログ投稿内容を先行公開 漫画家と絡みも多い
韓国報道では、諫山氏が公式ブログに投稿した絵や文章が同アカウントで先に公開されるケースが多々あると指摘する。日ごろから他の漫画家とのやりとりも多く、作中キャラの名前も頻出している。
13年3月には印象的な出来事もあった。諫山氏がブログで12年、「下書きとペン入れ後で、絵柄が変わると言われる」と下書き原稿を公開したものが1年後に2ちゃんねるで話題になった。すると、同ツイッターがタイミングよく「荒木さん!永椎くん!釣れたぞ!!」と2ちゃんねる記事を引用して発言。「別人が描いたって発想はしないもんすかね?」と漫画家の荒木宰氏に返信し、実際は荒木氏が書いたものだとほのめかしていた。
10月13日には、まだ発売されていない進撃の巨人のニンテンドー3DSゲームについても言及している。アカウント主はゲームの出来が気に入らないらしく、予約すべきか迷っているユーザーに対して「絶対に買っちゃだめです!」という。漫画家・永椎晃平氏に対しても「俺多分貰うからそれでいいでしょ、ネタにならないレベルできついよ」と発言している。これを機にアカウントの知名度が急上昇したのだが、その頃からツイートは非公開設定になってしまった。
非公開になった後には「進撃関連の小話もたまにあったのになあ・・・」「こんなことになるなら『ツイ垢身バレしてますよ』って教えてあげればよかった」などと残念がるファンもいた。
連載している別冊マガジン編集部は把握しているのだろうか。編集部に問い合わせると、担当者は電話中とのことで用件を伝えて連絡を待った。その後、再度問い合わせると「担当者は夜中まで戻りません」と話を聞くことができなかった。