人気漫画の「美味しんぼ」といえば、主人公の山岡士郎が勤務する東西新聞と、山岡の父、美食倶楽部を主宰する海原雄山率いる帝都新聞の「究極と至高」メニュー対決が有名だが、漫画の連載30周年を記念し、モデルとされてきた朝日新聞と読売新聞がリアルな「究極と至高」メニュー対決をする。
開催は2013年11月で、対決の様子や結果は朝日、読売の両紙と、漫画が連載されている「ビッグコミックスピリッツ」に掲載される。だがネットでは、山岡と雄山がいなければ意味がないし、「企画自体が20年遅れている」などと評判は芳しくない。
福岡、岩手、長野の各県で創作料理に挑む
「これは、日本の事件です。」「究極と至高の対決がリアルで実現!!」―――「スピリッツ」(13年10月28日号)の表紙に大きな文字が躍り、朝日と読売の「美味しんぼ」対決が告知された。対決は福岡県の鳥料理、岩手県のわかめ料理、長野県の長生き料理で3本勝負。11月3日から9日にかけて現地で競う。
朝日のリーダーは「AERA」元編集長でテレビ朝日系「報道ステーション」のコメンテーターを務めた一色清氏、読売のリーダーは東京本社編集委員でデパートの「プランタン銀座」常務だった永峰好美氏。それぞれ料理チームを編成し研究を重ね勝負の日に備えているのだという。
漫画に出てくる「究極と至高」の対決は、もともと東西新聞社が創立100周年記念事業の目玉として、後世に残す日本の食文化を紹介する「究極のメニュー」作りに取り組んでいたところに、ライバルの帝都新聞が「至高のメニュー」をぶつけてきたため、どちらが優秀なのかを競うために始まった。2大新聞が対決するスタイルになっているが、実は「美食倶楽部」から去った息子の山岡と、主宰する父の雄山との親子の因縁と確執が軸にある。
山岡が勝負に勝ったり引き分けたりすることもあるが、殆どは雄山の経験と知識に圧倒される。そして「究極と至高」の対決を通じ記者として、美食家として成長していく様が描かれている。
連載が始まったのは1983年からで、08年5月26日号で山岡と雄山は和解する。その後も「究極と至高」の対決は描かれてはいるが、「憎しみ」は姿を消し、2人は東西新聞と帝都新聞に分かれてはいるが、日本の優れた食文化を後世に残すために共同作業をするようになった。
負けた新聞社へのペナルティー次第では盛り上がる?
日本のグルメブームを牽引し、テレビアニメ化、実写ドラマ化もされ、コミックは1億冊も売れたという大ヒット作品。しかも、朝日と読売による「究極と至高」のリアル対決だから、かなりの注目を集めているのかといえば、そうではないようだ。「何をいまさら」「茶番劇だ」などといった意見がネットに多く見受けられる。新聞社は「リアル」だったとしても、リアルな山岡と雄山がいないのでは興味が半減だというのだ。さらに、
「落ち目のマンガ引っ張ってきてw 20年遅いよ。人気があった90年代にやってろ」
「やるにしても20年遅いわ。新聞が落ち目になってきたから話題作りに必死なのが見え見え」
「マスゴミ対決なんて興味はない」
などといった辛口の意見がネットの掲示板やブログに出ている。一方で、勝利した新聞社へのご褒美や負けた新聞社へのペナルティーはまだ発表されておらず、その内容いかんでは盛り上がる、と考えている人もいる。