組織とポジションを守るための「保身」?
そのうえで、前出の大関暁夫氏は「経営幹部に、銀行の組織や出身銀行の立場を守るため、また自らのポジションを守るための『保身』が働いたのではないか」という。
組織の中で声をあげれば、処理を任され、責任を負わされ、「面倒なことに巻き込まれる」といった意識が働く。役員というポジションゆえ、そんなリスクを率先して負いたくないのかもしれない。
また、外資家金融機関での勤務経験のある国際経済アナリストの小田切尚登氏は、「問題の融資案件は、1件あたりは数百万円という小口のもの。元来、メガバンクは一流企業と取引する、エリート意識の高い行員ばかりです。小口の融資といって軽く見ていたところがあるのではないでしょうか」と指摘する。
一般に融資案件は取引を停止するにしても、すぐに返済してもらえないなど対応が厄介だ。「このくらい(少額)なら、誰かが処理してくれる」「問題さえ起らなければ、いずれ取引(返済)が終わる」と思っていたフシもある。
そもそも、2億円の小口融資を金融庁が検査することが稀だ。内部かどうかは不明だが、「通報者がいた」との見方は少なくなく、これも「旧3行」の内部抗争がもとになっているといった憶測も飛んでいる。