世論はまだ余り盛り上がらず
9月中旬には東京に世界の娯楽産業幹部が集まった会合が開かれ、米カジノ大手や娯楽業界に特化した投資銀行等からの参加者が、「日本でカジノが解禁されれば、1万人超の雇用創出など経済効果をもたらす」「日本ではゲーム関連収入が1.5兆円(150億ドル)以上見込め、マカオに次ぐ世界2位のカジノ市場になる」などの予想を披露、関係者を興奮させた。
実際、シンガポールでは海外観光客の落ち込みから新たな観光の目玉として2010年にカジノ2施設を開業、2年で観光収入が7割以上増えたといい、ゴールドマン・サックスの試算では、カジノ解禁に伴う日本での経済波及効果は1.1兆円にのぼるという。
だが、解禁法案が臨時国会に出されても、臨時国会はアベノミクス関連の法案のほか、発送電分離など積み残された重要法案も多く、議連の目標も来年の通常国会での成立と思われる。また、策定中の法案はカジノ解禁のための基本法で、2~3年かけて詳細なルールを定めた実施法を成立させ、さらにその後の業者選定(入札)や施設建設などを考えると、カジノ開設は早くて5、6年先になるとみられる。
マスコミでも、この問題を取り上げるのは「SPA!」「FLASH」など主にエンタメ系に熱心な週刊誌やネットニュース中心。ロイター、ブルームバーグといった外国通信社も、欧米資本のこの問題への関心の高さを反映してか報じているのが目立つが、一般紙では地方での誘致の動きなどローカル記事を別にすると、9月以降では「読売」が9月24日朝刊で、議連の細田会長への取材を中心に「法案提出検討」と報じた程度。一部の期待とは裏腹に、世間の盛り上がりは、まだまだのようだ。