「知識偏重型」から「人物重視」へと国公立大学入試が大きく舵を切る。
政府の教育再生会議が2次試験について、ペーパー型入試試験の廃止を検討していると毎日新聞などが報じた。その後、下村博文文部科学相は一律に廃止するわけではないと明らかにしたが、ネットでは大学関係者や知識人らが、「大学入試が就職活動と同じになる」「勉強できても面接が下手だと落ちるのか」などと猛反発している。
「端的に言ってしまえば大学入試も就活と同じになる」
毎日新聞によると、会議の大学入試改革案は、第1段階として大学入試センター試験をベースにした新テストを設ける。1点刻みではなく何段階かでランク分けをして、大学はこの結果をもとに学力到達度を判断する。2次試験からはペーパー試験だけでなく、面接や論文、ボランティア活動や部活などで「人物評価」をするという内容だ。
ウェブに公開されている同会議の配布資料には、
「従来の一定の学力レベルを測る試験と同時に、小論文、面接等の手段で、何を学びたいのか、何を成し遂げたいのかといった子どもたちの『志』を問うべき。大学は、その志を受け取って熟慮し、その『人となり』を総合的に評価し、その志をいかに支援できるか、大学でいかに育成できるか検討して、入学の可否を判断するような入試をすべき」
などの意見が書かれている。
しかし、こうした「人物評価」重視への入試改革案にネットでは反発の声が大きい。就職活動のように面接の印象で大きく判断され、学力は優秀だが面接が不得意な人には不利になるといった批判だ。
帯広畜産大学・人間科学研究部門の渡邊芳之教授は、「端的に言ってしまえば大学入試も就活と同じになる。面接苦手な人は大学に入れなくなる,ということだ」とツイートした。ジャーナリストの江川紹子さんも「人物重視?企業の入社面接じゃあるまいし…と思ったが、要は大学を産業界の研修所と位置づけ、入試を就活の第一関門とする発想だにゃ」とツイートしている。
また、高崎経済大学・経済学部准教授の國分功一郎さんは、
「大学に入るために子どもたちが教師の顔色を伺うようになり、社会から安易な仕方で認められるように『ボランティア』をする。そんなおぞましい社会にしてはならない」
と主張している。