大手牛丼チェーンの吉野家が2013年10月11日、初めて国会内に出店した。中でも注目は、1200円もする特別メニューの、「牛丼」ならぬ「牛重」(ぎゅうじゅう)だ。
国会閉会中で閑散としているにもかかわらず、特別メニューはかなりの人気。開店から4時間もたたないうちに「完売御礼」となった。
カウンター席14席で「小ぶり」な店舗
出店したのは、衆院本館の裏庭に面したエリアで、蕎麦屋、土産物屋、名刺屋、花屋などが並ぶ一角だ。吉野家が出店した場所は、夏まではカレーなどを出す軽食店が入居していた。店舗面積は22.3坪で、カウンター席14席を備える。吉野家の店舗としては、かなり「小ぶり」な方だ。
隣接する議員会館ではセブン‐イレブン・ジャパンやタリーズコーヒージャパンが営業しているが、国会議事堂の敷地内に大手外食チェーンが店舗を構えるのは初めて。衆院では5年ごとに店舗を公募しており、13年3月に吉野家を含む2社が応募。6月に吉野家の出店が決まり、10月15日に招集される秋の臨時国会を前にオープンした。
「牛重」では国産和牛の肩ロース肉を使用
全国に1188店舗(13年9月現在)ある吉野家の中でも、ここでしか食べられないのが「牛重」。通常の牛丼では米国産の牛肉を使用しているのに対して、「牛重」では国産和牛の肩ロース肉110グラムを、すき焼きの様に焼いてご飯の上に乗せている。入れ物も通常の丸いどんぶりではなく、うな重のような四角い容器で出される。お新香とみそ汁付きで1200円。テイクアウトもできる。
6月に出店が決まった際、衆院側から「何か特別なメニューを」と要望があり、「普通の吉野家にはない『お値打ち感』のあるものを」とのリクエストに応えた。
牛丼、ロース豚丼、カレーなど通常のメニューも販売しているが、オープン初日の注文は牛重と牛丼が半々だったという。店舗が小さいこともあって、牛カルビ丼や焼鳥つくね丼など一部のメニューは販売していない。
開店初日には10時にオープン。記者が取材に訪れた14時前には、用意した「牛重」200食が完売してしまった。週明け10月15日以降は、客足を見て用意する数を検討する。
店舗の正式名は「永田町1丁目店」。土日祝日をのぞく平日9時半から16時にかけて営業する。国会議員や国会職員、報道関係者などの利用を想定しており、一般の人がアクセスできないため、吉野家のウェブサイトには掲載されていない。見学コースから離れた場所にあるため、見学者も利用できない。