韓国・朝鮮籍の「特別永住者」は右肩下がり
「在日韓国・朝鮮人はなぜ祖国に帰らないのか」という議論は、ネット上にしばしば登場する。2012年10月には、エジプト出身のタレント、フィフィさんがツイッターで、在日韓国・朝鮮人に限定した話でないとしつつも、在日外国人の立場から「自国から拒否されてるわけで無いならなぜ愛する母国に帰らないのか?」と問いかけていた。
在日韓国・朝鮮人の多くは「特別永住者」に該当する。この資格は、戦前から日本に住む朝鮮半島や台湾出身者などのうち1952年のサンフランシスコ平和条約で日本国籍を離脱したものの引き続き日本に住み続ける人たちとその子孫に対して特例法に基づき付与された。法務省が2013年6月14日に発表した、2012年末現在の特別永住者数のうち「韓国・朝鮮」籍は37万7350人で、前年比7882人減となっている。減少傾向は長年続いており、20年ほど前の約70万人から半数ほどになった。在日社会でも高齢化や少子化が起こり、帰化が進んだ影響も考えられよう。
戦後の1950年代を中心に在日朝鮮人の帰還事業が実施され、北朝鮮に「帰った」人は少なくない。一方で日本定住を選んだ人は、世代が進むにつれて生活基盤は完全に日本となった。日本生まれで話す言葉も日本語、家族も日本で暮らす。そんな状況で「祖国に帰れ」と言われても、韓国や北朝鮮で暮らす基盤などないというわけだ。
帰化に関しては人それぞれ事情がある。「在日」を名乗る人によるネットの書き込みをみると「親に反対されている」「自分は帰化したい」「帰化する理由が見当たらない」と、考え方はバラバラのようだ。
朝鮮日報の社説は、必ずしも韓国社会が在日朝鮮人を引き受け、「帰国」するよう促すと主張しているわけではなく、韓国人として在日に心情的に寄り添うとの意味合いにも解釈できる。ただ「日本に住みたくて住んでいるわけではない」との表現には、「それなら日本を離れればいい」とカチンときた人はいただろう。