法人税の実効税率を引き下げ 大企業優遇か、賃上げに結びつくのか

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大手金融機関が20年近く納税していなかった例も

   法人税減税の効果は限られるとの指摘もある。国税庁によると、2011年度に法人税を納めている企業は全体の27.7%にすぎない。各種の優遇措置で税金を納めていない7割には、法人税減税をしても恩恵は及ばないのだ。この優遇の中には過去の損失を何年間も持ち越せる制度があり、実際、1990年代の金融危機で巨額の損失を計上した大手金融機関が、経営が立ち直った後も最近まで20年近く納税していなかったという例もある。「法人税率を引き下げても、メリットがあるのは一部の大企業など中心。その大企業も内部留保を増やすだけで、中小企業など多くの労働者の賃上げには結びつかない」という批判は多い。法人税率を下げるにしても、国民が納得できる課税ルールの見直しが必要との声は根強く、自民党税制調査会などにも、減税分が賃上げや設備投資に向かうよう企業への何らかの規制が必要との声がくすぶる。

   法人税率引き下げの具体的議論は、年末にかけて自民党税調などを舞台に展開される。国民にどれだけ「納得感」をもたせられるか、行方が注目される。

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