「iPhone5s競争」序盤はKDDI好調 「つながりやすさ」が格段にアップ

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今は「すいている」周波数帯が混雑したら問題が…

   800MHzの周波数帯は、新型iPhoneのために「取っておいた」と田中社長は明かす。LTE向けに帯域を割いたことで、つながりやすさを実現した。2013年度中には、同社が定義する実人口カバー率で99%を達成すると意気込む。

   iPhone5では、75Mbpsという高速接続が可能な地域を、実際は実人口カバー率14%にとどまっているのに「96%」と誇大に広告、またネットワーク全体でも電波が届いていても接続できない「パケ詰まり」を指摘されたり、大規模な通信障害が発生したりして信頼を落としていた。「5s」「5c」では「つながりやすいLTE」で信頼を回復し、競争から抜け出したいところだ。

   「プラチナバンド」を持っているのはドコモもSBMも同じだ。田中社長は「週刊アスキーPLUS」の取材に、両社ともLTE対応は2.1ギガヘルツ(GHz)という別の周波数帯が中心で、ドコモが持つ800MHz帯は「そのほとんどを3G回線に割り振って」いると指摘。SBMの場合900MHz帯の利用は「まだこれから」だ。この帯域でのLTEはKDDIが優勢だとばかりに、胸を張る。

   木暮氏は、「今はKDDIの800MHz帯は『すいている』ので、iPhone5sのLTE接続が快適です」と話す。ただ「今後ユーザーが増えると帯域が混雑して、現在のようなスムーズな接続が実現できなくなる恐れがあります。その際にKDDIがしっかり対応できるかが重要でしょう」。今回「つながりやすさ」を大々的にアピールしているだけに、利用者は今後も、現状の接続環境が維持されるはずと想定しているだろう。KDDIとしては当然契約数を伸ばしたい、だがそうすればネットワークへの負荷が増え、気の抜けない事態が続くようになる。

   800MHz帯の大部分をLTEに割り振った点も、木暮氏は少々心配する。田中社長が述べたとおりSBMやドコモは、プラチナバンドを3G用に大きく割いている。スマートフォンでは、LTE接続でも音声通話の際には3Gに切り替わる。もともとLTEはデータ通信専用なので、場合によってはKDDIのiPhone5sで通話ができない事態が生じるのでは、との指摘だ。通話は電話機の基本機能だけに、障害が発生すればまたも信用問題に発展するかもしれない。

   「5s」は米アップルが出荷台数を絞っているとの報道もあり、各社とも品薄のようだ。序盤は出遅れた感のあるドコモも、「都心などでLTE接続の改善を急ピッチで進めている」(木暮氏)。端末の供給が潤沢になり、ライバルたちがネットワーク環境を整備してきてもKDDIはリードを保てるか、勝負はむしろこれからが本番だ。

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