「ザ・コーヴ」の太地町に観光用「クジラ牧場」構想 さっそくAFPが「悔い改めていない」と批判報道

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   イルカ漁を隠し撮りしたドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」で批判の対象となった和歌山県太地町で、クジラやイルカの「牧場」を建設する構想が持ち上がっている。早速海外メディアがこの構想を報じ、イルカ漁を継続したまま構想が持ち上がっていることへの感情的反発が広がっている。

観光客がカヤックに乗って近くから観察したり、一緒に泳いだりできる

   構想は三軒一高町長の肝煎りのようで、2013年10月5日の中日新聞1面で大きく報じられた。構想は、町内の森浦湾を網で仕切って28ヘクタールのスペースを確保し、マダライルカをはじめとする鯨類50~100頭を飼育する、というもの。観光客がカヤックに乗って近くから観察したり、一緒に泳いだりできるようになるという。18年の一部オープン、33年の完成を目指す。

   三軒町長は中日新聞に対して、

「クジラの聖地にしたい。年間30万人の観光客を呼べば採算は合う。自然を残し、少しずつ実績を積みながら進む」

と意気込んだ。

   「牧場」は森浦湾に建設予定だが、追い込み漁で批判されているのは畠尻湾と呼ばれる、町内の別の場所だ。

米ヤフーコメント欄では「イルカ漁は伝統」論に批判多数

   この構想は、早速国外の感情的な反発を呼んでいる。AFP通信が13年10月7日に配信した記事がきっかけだ。見出しは「日本のイルカ殺しの町が海洋公園を開設へ」というもの。記事には

「近くの浜では、毎年行われる虐殺は続いている」

とあり、イルカ漁を継続したまま「牧場」建設を進めようとしていることを非難する論調だ。町役場については

「悔い改めない運営者たち」
「海を血で赤く染める毎年の漁を終わらせたいと願う自然保護活動家からの圧力には屈していないようだ」

と表現した。

   また、イルカは移住動物だとされることから、一定の区域に閉じ込めることに批判的な声も紹介している。

   記事は英語で配信されただけに影響は大きく、米国のヤフーのコメント欄には900件以上コメントが投稿されている。その内容は、

「気分が悪くなる伝統だ。400年続いているから何だというんだ」
「奴隷制度は数千年の伝統があるが、それでも正当化はできない」

と、伝統として捕鯨が続いていることを非難するものが大半だ。

   中国語圏にも拡散している。台湾のラジオ局「台湾国際放送」は、AFPの記事を引用する形でこのニュースを報じている。ウェブサイトの記事では、映画「ザ・コーヴ」の写真も掲載されている。写真は、海がイルカの血で赤く染まる様子を表現しており、このラジオ局が構想に批判的な立場を取っている可能性もある。

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