「いつかもう一度、と思っている」
むしろ、改めて田中との対決を目標に、引退の気持ちを撤回したのかもしれない。ただ、田中との投げ合いは、かなり厳しい。
斎藤にとって、来年は対田中どころか投手生命の岐路である。キャンプは調整などという生やさしいものではない。2年目となる大谷翔平との比較が待っている。150㎞/hの速球を常時投げる大谷とどう勝負するか。スター性をまだ失っていない斎藤を生かす道として野手転向の声も聞こえてくる。運動神経は抜群で、投手フィールディングを見たら内野手はできる。センスはいいから打撃も走塁もこなすだろう。
斎藤自身は、このまま終わりたくない、との思いが強いだろう。しかし、もうチームはこれまでのように言い分を簡単には聞くはずがない。投手に先の見通しが立たなければ、野手で新たな道を探った方がいい。
プロに身を投じたときはまさにフィーバーだった。とりわけ日本ハムの地元、札幌での関心度は大変なものだった。たとえばテレビの視聴率だ。11年の初登板のときは瞬間的には40%に届くような勢いだったし、昨年の開幕投手の完投勝利のときも30%を超えた。今は隔世の感がある。勝てなくなった投手は厳しい。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)