ホンダ、スズキ、ダイハツ、トヨタ、さらにGM、VWも 自動車メーカー、インドネシアへ投資加速、競争激化

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   世界の自動車メーカーがインドネシアへの投資を加速させている。経済成長に伴う市場拡大に加え、同国政府が低燃費で低価格な小型車を普及させようと税制優遇策を導入したことが後押ししている。日本勢は現地で90%超と圧倒的シェアを誇るものの、欧米勢も工場を新設するなど競争は激化しつつある。

これから急速にモータリゼーションが進む国

   インドネシアは人口2億4000万人で、2012年の国民1人当たりの国内総生産(GDP)は約3600ドルと自動車普及の目安とされる3000ドルを超えている。2012年の自動車販売台数も前年から24.8%増の約111万台で、3年連続で過去最高を更新。世界の大手メーカーが「これから急速にモータリゼーションが進む」(日本メーカー幹部)と注目する有望市場だ。

   同国での日本勢のシェアは約95%と圧倒的で、業界では「日本以上に日本メーカーのシェアが高い国」と認識されている。円高が急伸した際には日本企業の進出ラッシュも起き、同国の経済成長に貢献したことから、「インドネシアは日本びいき」(経済産業省幹部)との声も出る。

   ただ、現地タクシー運転手に「ダイハツはどこの国のメーカー?」と聞くと、「韓国」「アメリカ」などと返ってくることも珍しくない。「どこの国の車かには興味のない人も少なくない。日本勢が強いのは、単に進出が早かったから」(大手商社の現地駐在員)との声もある。確かにトヨタ自動車は1970年代から進出し、子会社のダイハツ工業と合わせたシェアは5割に達する。

   その日本勢の進出競争が、ここへ来て加速している。ホンダやスズキが2014年に新工場を稼働させるほか、ダイハツは2015年に工場に新ラインを導入、トヨタも2016年にエンジン新工場を稼働させる。主に同国向け小型車を強化するためだ。

有望市場に海外勢も参入

   インドネシアでは従来からミニバンが乗用車市場で主流。大家族がメードと一緒に買い物に出かけ、たくさんの荷物を積むなどするからだという。しかし、政府は中流階級への自動車普及を進めるため、税制の優遇策を導入。低燃費、低価格な1000cc程度の小型車で、一定割合の部品を現地調達するなどの要件を満たしていれば、販売時の税金を軽減するという制度だ。日本勢は優遇策の適合車開発にしのぎを削り、2013年9月には首都ジャカルタで開催された国際モーターショーで新型車をお披露目。各社は「シェアアップにつなげたい」と意気込んだ。

   しかし、有望市場を目の前にして海外勢が黙って見ているわけはない。かつて同国から撤退した米ゼネラル・モーターズ(GM)が生産を再開したほか、独フォルクスワーゲンも工場を建設中だ。今後は世界の大手メーカーによる競争が激しさを増すのは必至。

   ただ、ジャカルタでは交通インフラの整備前に車が急増したため、渋滞は極めて深刻だ。優遇策でさらに車が増えれば、都市機能の一層の低下を招きかねないため、業界の一部では「優遇策の打ち切りもありえるのでは」とささやかれているが、優遇策廃止となれば巨額投資を進める日本勢にとっても打撃は小さくはない。他方、個人消費の加速に、生産能力を増強するための投資が追いつかず、同国経済は減速感が強まっており、投資促進が不可欠という事情もある。今後の同国の行方が注目される。

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