メス猿に惚れ、群れから追放
「例のないことをやってのけた」という言葉のとおり、ベンツの来歴は浮沈に満ちており、メディアにもたびたび取り上げられてきた。
ベンツが最初に高崎山で頭角を現したのは、26年も前の1987年のことだ。高級外車を思わせる貫禄ある体格(「ベンツ」という名前の由来)、そしてケンカの強さに恵まれた若き日のベンツは、9歳にして史上最年少でB群の頂点に立った。
ところが90年、ベンツはクーデターに遭う。C群のメス猿・リズに惚れ、ボスの仕事をサボったためだ。相手は当時27歳、人間でいえば80過ぎの「老婆」だったが、その手練手管にすっかりヤラレたらしい。色ボケしたところを若い衆に裏切られ、B群を追われてしまう。この追放劇は、直前に女性問題で退陣した宇野宗佑元首相に重ねられる形で報じられ、一躍全国区の有名猿となった。
その後「恋人」のいるC群に逃げ込んだものの、リズは没落したベンツを相手にせず。B群ボス時代、C群をさんざんいたぶっていたこともあり、周囲からは白い目で見られ食うや食わずの毎日を送る。哀れんだかつてのライバルでC群の幹部・サイジョーが助け舟を出し、ようやく居場所を得たというエピソードなどは、ほとんど仁侠映画の世界だ。