減らない鉄道自殺 遺族への損害賠償は「抑止力」になっているのか?

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   全国のJR線や私鉄で後を絶たない「人身事故」。その多くが自殺とされている。

   しかし、こうした人身事故は鉄道会社はもちろん、乗客にとっても電車の遅延を引き起こす迷惑な出来事。場合によっては鉄道会社から損害賠償を請求されることもあるのに、なかなか減らないようだ。

大都市、ラッシュ時の人身事故ほど損害賠償額は上がる

   JR東日本は、電車の人身事故による損害賠償請求は「ケース・バイ・ケースです」と話す。ホームからの転落などによる事故を含め、人身事故が起こった場合、その本人や遺族に必ずしも損害賠償を請求するわけではないが、「しない」ともいえないという。

   一般に、鉄道会社が遺族(亡くなっていない場合は本人)への損害賠償は、車両や駅施設などに損害が生じたときの修理代や電車を止めたことに対する営業補償、特急料金などの払い戻し、振替乗車によるなどで生じた他の鉄道会社からの請求額や振替輸送ができない場合のバス・タクシー代、長距離列車がなくなるなどで生じるホテル代、事故に伴う職員の超過勤務や休日出勤などの人件費などを、請求。また、事故のあった時間帯や車両の台数などによっても請求額は変わってくる。

   そうなると、数万人が利用する大都市のターミナル駅、かつ朝夕のラッシュ時などの鉄道ほど損害賠償額は高くなる傾向にあるわけだ。

   周知のとおり、JR東海が認知症の男性(当時91)が線路内に立ち入り電車と接触した死亡事故で、家族らの安全対策が不十分だったとして損害賠償を求めた裁判では、名古屋地方裁判所(上田哲裁判長)が2013年8月9日、男性の妻と長男に請求全額にあたる約720万円を支払うよう命じた。

   インターネットのカキコミには、遺族に同情を寄せる声がある半面、鉄道会社や乗客に相応の「被害」があるのだから、損害賠償請求は「当然」との意見もあり、また、こうした判例が明らかになることで「自殺の抑止になる」との考え方も少なくない。JR東海を支持する向きもある。

   遺族は控訴している。

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