ラッセン作品は「ヤンキー受け」する?
ところで、これほど嫌われるクリスチャン・ラッセンはどんな存在なのだろうか。色鮮やかで写実的なラッセンの作品は「よく分からない」と思われがちな現代アートと対照的で、アートに詳しくない人たちにも広く受け入れられてきた。しかし圧倒的な知名度と人気を誇る一方で、これまで正面から論評されることはほとんどなかった。市場価格と比べて高額な値段で売る「絵画商法」との批判があったほか、現代美術界からは「インテリア・アート」として本流とみなされなかったことが要因とも考えられている。
「ラッセンとは何だったのか?消費とアートを越えた『先』」(2013年6月発売)にも寄稿している大野左紀子さんは、自身のブログ(08年4月21日)でラッセンは「日本人のヤンキー心に訴えた」と分析する。ここでいうヤンキーとは「どんなに頑張っても今いち垢抜けず安っぽい趣味に染まりやすい田舎者」を指す。「ラッセンの絵は日本的な癒しや郷愁とはかけ離れているかもしれないが(略)ヤンキーの趣味には意外にも合致。むしろヤンキーにとっての癒しがラッセンに凝縮されている、と言ってもいいくらいの感じだ」と解説している。
ちなみに当のラッセンは現在、来日して個展を開催している最中だ。9月14日には片山さつき参議院議員と面会し、「クールジャパン」について話し合ったとスタッフがブログで報告している。